(第6回)夜泣きを通して考える、ママと赤ちゃんのスキンシップ。赤ちゃんの成長する時期と合わせて考えてみましょう!

赤ちゃんの夜泣きの時期は生後2、3カ月頃から始まり、9カ月頃に夜泣きのピークを迎え、1才を過ぎる頃から少しずつ治まると言われています。ただ、赤ちゃんによっては、その時期を過ぎても2才、3才まで夜泣きが続いてしまう場合もあるようです。

 

 

これまでのコラムでは、赤ちゃんの夜泣きの原因、夜泣きの対策について考えてきました。

(「第3回“原因のない夜泣き”にも原因はある?!」「第4回夜泣きにサヨナラ!原因別、赤ちゃんの夜泣き対策“」をご覧ください)

 

 

夜泣きの原因、夜泣きの対策を考えていくと、そこには“ママ”の存在が大きく、夜泣きには、そして育児には、赤ちゃんとママとの温かい繋がりが欠かせないものだとわかりました。

 

 

 

ママとの温かい繋がり…ママとのスキンシップは赤ちゃんの健やかな成長には必要不可欠なものです。そこで、気になってくるのは、あの言葉「抱き癖」です。

 

 

 

夜泣きが始まると、すぐに夜泣きしている赤ちゃんを抱きあげるママ。そんなママの姿を見て、おばあちゃん(ママ、パパにとってのお母さん)に「抱き癖がつくよ」と言われたことのあるママもおられるのではないでしょうか。

 

 

赤ちゃんが目の前で夜泣きしているのです。家族が夜泣きの声で目を覚まさないか、ご近所様に夜泣きの声が迷惑になっていないかと心配になります。夜泣きしている赤ちゃんを抱っこして、何とかしたいと思いますよね。

 

 

実際、私の周りにいる20数年前は新米ママだった(?!)人達の経験談からも「娘が夜泣きする度にすぐに抱き上げたら、お姑さんに抱き癖がつくと怒られた」とか「息子は夜泣きしなかったけど、抱き癖がついてお布団で眠ってくれなくて困った」という話を聞きます。

 

 

 

「抱き癖」はそんなにいけないものでしょうか?

 

 

 

“癖”と言われると、あまり良いイメージではないですよね。

 

 

「抱き癖」は抱っこしているときは大人しいのに、布団に寝かせると夜泣きをする、抱っこすると大人しくなる、布団に寝かせると夜泣きする…これを繰り返すので、“癖”として“良くないこと”だと言われているのでしょう。

 

 

確かに、それでなくとも育児や家事で疲れているのに、夜泣きの度に、延々とこれを繰り返されては大変です。

 

 

 

では、夜泣きする赤ちゃんを抱っこせずに放置したらどうなるでしょうか?

 

 

 

赤ちゃんは言葉が話せません、自分では何も出来ません。だから、夜泣きで何かを訴えています。それが無視されれば、大人でもそうですが、“諦めてしまいます”

 

 

いくら夜泣きしてもママが何の反応もしてくれなければ、赤ちゃんは夜泣きすることを諦めます。

人として成長する大切な時期に、夜泣きすることを、泣くことを諦めてしまった赤ちゃんは“サイレントベビー”になる危険性があると言われています。

 

 

昔は、夜泣きをしない赤ちゃんは、「手のかからない良い子」と言われていましたが、今の育児の中では、必ずしも夜泣きしない赤ちゃんが「良い子」ではないのかもしれません。

 

 

では、今回は、夜泣きの疑問として、ママと赤ちゃんのスキンシップであるはずの「抱き癖」について、赤ちゃんの成長する時期毎に考えていきたいと思います。

 

 

 

〈夜泣き&抱き癖ポイント〉~生後0カ月~

 

 

“新生児”といわれているこの時期、赤ちゃんは生きていくために泣きます。生きていくために、お乳が欲しいと泣きます。つまり、本能で泣いているだけです。

 

 

実は、この時期の「夜に泣く」という夜泣きは、本来の夜泣きとは違います。この時期の赤ちゃんは昼夜の区別がついていません。体内時計機能もまだまだ未熟なため、2~3時間のサイクルで起きて、泣いて、お乳を飲んで、寝るということを繰り返しているだけです。夜に泣いていても、夜泣きではないのです。

 

 

なので、この時期の赤ちゃんに「抱き癖」はありません。ただ、生きていくために泣いているのです。その生きる欲求を満たしてあげることがママの役目です。授乳の時、寝かしつける時、たくさん抱っこしてあげてください。

 

 

 

〈夜泣き&抱き癖ポイント〉~生後3カ月~

 

 

昼夜の感覚を覚えていく時期です。起きている時間が長くなり、夜はまとめて眠るようになります。空腹感・満腹感がはっきりしてきます。この時期から、「お腹がすいた」という感覚が強くなり、夜泣きが始まる場合があります。

 

 

また、「かまって欲しい」という欲求が芽生え始める時期です。かまって欲しくて、泣く時期です。ママとの間に“愛着”が築かれてきている証拠です。

 

 

この時期から、ママに抱っこして欲しくて泣き始めるため、「抱き癖」がつき始める時期だと考えられているようですが、この時期から、赤ちゃんの心身は急スピードで成長し始めます。その不安定なバランスを心の面から整えてあげるために、たくさん赤ちゃんを抱っこしてあげてください。

 

 

 

〈夜泣き&抱き癖ポイント〉~生後6カ月~

 

 

自我が芽生え始める時期です。まだ、自分の主張を言葉で伝えることが出来ないので、赤ちゃんにとっては泣くことが精一杯の主張です。

 

 

また、この時期になると、昼夜の区別がつき、睡眠時間が安定してくるので、夜、長い時間眠り続けることが出来るようになります。その反面、夜泣きも徐々に増えてくる時期でもあります。

 

 

この時期は視力が備わってくる時期なので、赤ちゃんはいろいろなものを目で見て、感じることが出来るようになります。視覚から感じた刺激(東洋医学でいう「驚」「恐」)は夜泣きの原因にもなります。赤ちゃんが感じてしまった夜泣きの原因となる刺激はママの優しい抱っこで和らげてあげてください。

 

 

 

〈夜泣き&抱き癖ポイント〉~生後9カ月~

 

 

ハイハイが上達し、行動範囲が広がり、好奇心も幅広くなる時期です。心身の成長が著しく、赤ちゃん自身がそのスピードについていけず、心身のバランスをうまくとることが出来ないことが、夜泣きの原因の1つになっていると考えられます。

 

 

ママの後追いも始まる時期です。これは、記憶能力の発達に伴い、「ママがいない」ことに不安を感じるようになり、ママを求めているのです。

 

 

この時期の赤ちゃんは目の前のものしか認識出来ていません。目の前にいたはずのママの姿が見えない、その不安で赤ちゃんは泣いて、ママを追いかけます。「ママはここにいるよ」と優しく抱っこして、不安を取除いてあげてください。

 

 

 

〈夜泣き&抱き癖ポイント〉~生後12カ月(1才)~

 

 

言葉を理解し始める時期です。“良い”、“悪い”の判断がわかり始める時期です。日中の動きが活発になる分、夜にしっかりと眠るようになり、夜泣きが少しずつ治まってくる時期でもあります。

 

 

しかし、この時期になると、断乳をするママも増えてきます。これまで、ママのお乳を飲むことで感じていたママとのスキンシップがなくなる不安から、夜泣きが続く場合もあります。

 

 

言葉への興味が湧き、理解も深まる時期なので、抱っこ(スキンシップ)と共に、言葉でのコミュニケーションが大切な時期です。「これをしてはダメ」「こうしましょうね」と赤ちゃんの目を見て、しっかりと言葉で伝えて、抱きしめてあげてください。

 

 

 

「抱き癖」=「甘やかし」と捉えられがちですが、赤ちゃんが求めているものは、ママからの甘やかしではなく、ママの愛情、スキンシップです。これにより、赤ちゃんは、安心、信頼、希望といった、今後の健やかな成長に必要な心の栄養(感情)を得ることが出来ます。

 

 

 

「抱き癖」という言葉は気にせず、思いっきり赤ちゃんを抱っこしてあげてください。

いずれ、赤ちゃんも成長します。羞恥心を感じる年齢になれば、自然に抱っこから卒業するようになります。むしろ、抱っこを満喫できるのは今の時期しかないのかもしれません。

 

 

ただ、抱っこばかりしていては、自由に動けません。そんな時は、“おんぶ”というスキンシップもあります。ママの温もりを赤ちゃんに感じさせてあげてください。

 

 

 

ところで、夜泣きしている赤ちゃんを抱っこするとき、ママはどうしていますか?ただ、黙って、黙々と抱っこしていますか? 

 

 

 

夜泣きしている赤ちゃんには、抱っこしながら、「お腹がすいたの?」「もうそろそろ、夜泣きは止めて眠ろうよ」等、何か言葉をかけているママが多いのではないかと思います。

 

 

言葉はわからない赤ちゃんでも、ママから発せられる音の強弱は感じることが出来ます。

毎晩、毎晩、夜泣きする赤ちゃんに、「いい加減に夜泣きはやめて!」「夜泣きする子は嫌い!」「夜泣きでイライラする!」等と、ママが強く発する言葉が、夜泣きの原因になっているかもしれません。

 

 

とはいえ、赤ちゃんの夜泣きに付き合うママは大変です。

目の前で夜泣きしている赤ちゃんに優しく接したいけど、ついついイライラしてしまう…

 

 

そんな時は、♪赤ちゃん夜泣きで困ったな~♪ママもお疲れ弱ったな~♪の「ひやきおーがん【特撰金粒】」が、赤ちゃんの夜泣きで困っているママをお助けします。

 

 

「ひやきおーがん【特撰金粒】」が赤ちゃんの夜泣きで困っているママをどうやってお助けするのか?については、第5回コラム「赤ちゃんの夜泣きに悩むママへ…ママのイライラの原因は?!」をご覧ください。

 

 

 

次回は、赤ちゃんの夜泣きに関連して、赤ちゃんとお薬の関係について考えていきたいと思います。

 

 

 

…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!

 

 

【今回の画像は、大阪市中央区にある“少彦名(すくなひこな)神社”の看板です。

大阪の薬の町として知られる道修町(どしょうまち)には、医薬の粗神である日本の少彦名命(すくなひこなのみこと)と中国の神農炎帝(しんのうえんてい)をお祭りしている少彦名神社があります。

毎年11月22日、23日は、無病息災を祈願する、「神農祭(しんのうさい)」が行われ、晩秋の大阪市内最後のお祭りとして「止め祭り」とも呼ばれています。

例年、家族、ご自身の無病息災を願う人々で大変賑わっています。お近くにお住まいのママ、ご興味のあるママがおられましたら、この神農祭で赤ちゃんの健やかな健康、そして赤ちゃんの夜泣きが治まりますように!とお願いしてみるのはいかがでしょうか】

 

 

 

 

 

筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長