樋屋奇応丸イメージ樋屋奇応丸イメージ

樋屋奇応丸の成分

もともと「奇応丸」の原型処方は、唐招提寺で有名な唐の高僧「鑑真」が伝えたといわれ、「色々な不調に対してすぐに応じることのできる薬」、奇に応じることができる薬として、当時は「不老長寿・鎮静・強心・解毒作用等万能薬」として珍重されていました。

しかしながら配合生薬(ジャコウ、ニンジン、ユウタン、ジンコウ)は遠い海外から輸入しなければならないものであり、「高貴薬」であるため庶民の手には入りにくく、公家や僧侶の秘薬として用いられました。
江戸時代になると薬が一般に売られるようになりますが、その頃の書物によると奇応丸は瘧(悪寒、発熱)、大霍乱(嘔吐、下痢、腹痛)、産後の血の道などに用いられたようです。
「1622年(元和8年)初代坂上忠兵衛」は「極めて安全な生薬のみを使用している奇応丸は、赤ちゃんが生まれて初めて飲む薬として最も適している」こと、また、「赤ちゃんの服用量なら庶民にも手が届く」ということに着目して樋屋奇応丸を施薬しました。当時は、赤ちゃんの栄養状態も悪く、医療の行きわたっていない時代、「まさに奇応がある」、「よく効く」と川柳にも読まれるほどの「大評判」となり、以来400余年にわたり「樋屋奇応丸」は「赤ちゃんが安心して飲めるお薬」の代名詞となっているのです。

樋屋奇応丸の個々の成分の研究も進んでおり、以下のような効果が報告されています。
ニンジン ニンジン
俗に、「高麗ニンジン」としてよく知られている生薬で、虚弱体質や病後の体力を強化充実させる薬の代表的なものです。
昔からよく知られていますが高価なために江戸時代の物語にもしばしば登場します。

ユウタン ユウタン
熊の胆汁を乾燥させ、固形にしたもので、強い苦味を持っています。ユウタンは樋屋奇応丸の効能のうち、乳はき、下痢、消化不良などの胃腸虚弱症状に作用すると同時に、かんむし、夜なきなどの神経質症状の緩和にも深く関わっています。

ゴオウ ゴオウ
牛の胆のうにできた結石で、中国の古い書物に、熱性の病気や中毒症状、ひきつけに効ありとしるされており、わが国では少なくとも奈良時代の昔から医薬として用いられてきました。

ジャコウ ジャコウ
ヒマラヤ地方やチベット高原から中国西部の山岳地帯にすんでいるジャコウジカの雄のにおい袋から採取したものです。精神安定の薬効のある漢方処方にしばしば配合されており、樋屋奇応丸の効能のうち、神経質症状の改善に重要な役割を果たしています。

ジンコウ ジンコウ
東南アジア地方にみられるジンチョウゲ科の植物の材部が土中に埋もれ、樹脂の多い部分が残ったものです。東洋でもっとも喜ばれる香木でもあり、水に沈むほど重いことから沈香と名づけられたといわれています。