(第27回)育児の中の食生活~赤ちゃんの離乳食について~
“今日のすくすく赤ちゃん” の紹介は、コラムの最後に登場です♥
これまで、この育児コラムでは育児ママを悩ませる赤ちゃんの夜泣きを中心に、赤ちゃんの日常での病気やその対応について考えてきました。
先日、「ひやきおーがん」が行った育児ママへのアンケートの中で、育児ママが知りたい情報に「離乳食」「食生活」といった“食”に関するものが多く挙げられていました。
“食べること”は生きていくことために欠かせないことです。
そこで、春の新しいスタートに合わせ、この育児コラムも内容を新しくし、子どもの“食”について、時には薬膳の考えを取り入れながら進めていきたいと思います。
まず、今回は、ヒトが初めて自分の口で食べる食事である“離乳食”について考えていきましょう。
離乳食とは
離乳とは、母乳または育児用ミルク等の乳汁栄養から幼児食へ移行する過程をいい、その間に摂取する食事のことを離乳食といいます。
離乳食はなぜ必要なのか?
生きるために必要な「食べる」という行為は「咀嚼(そしゃく)運動」により成り立ちます。口の中に入れた食べ物をよく噛むことで、消化吸収し、栄養を全身に送ります。
この「噛む」という行為は学習することで身につきます。
人間の赤ちゃんは生まれた時には歯は生えていませんので、固形物を噛み切ることができません。かといって、固形物を飲み込むこともできません。
なので、赤ちゃんは生まれた時から母乳やミルクで体に必要な栄養を摂っていますが、その栄養も赤ちゃんが成長するに従い、段々と不足してきます。
そこで、不足する栄養を他の食べ物から摂らなくてはならなくなります。
しかし、その時期の赤ちゃんにはまだ十分な歯は生えておらず、消化器官も未発達なため、大人と同じ食べ物を食べ、消化吸収することはできません。
そのため、赤ちゃんの成長に合わせて、少しずつ固形物に慣らしていくことが必要になってきます。
離乳食の開始時期は?
平成19年に厚労省より発表された「授乳・離乳の支援ガイド」には、離乳の開始は「生後5、6カ月頃が適当である」と記載されています。
しかし、赤ちゃんの発達には個人差がありますので、必ずしも5、6カ月に開始する必要はありません。赤ちゃんの様子をみて、開始しましょう。
ここで、ポイント!!
赤ちゃんにこのような様子がみられるようになったら、離乳開始の合図です。
○哺乳反射がなくなってきた。
○しっかりと首がすわっている。
○支えがあれば自分で姿勢を保つことができる。
○大人が食べている物に興味を示す。
○口をモグモグさせる。ヨダレを出す。 等
哺乳反射とは
ママの乳首等、口に入ってきたものをくわえる、強く吸う、飲むといった反射です。生後間もない赤ちゃんがママのお乳を飲めるのは、この哺乳反射が備わっているためです。
哺乳反射は生後4~5カ月頃から徐々になくなっていきます。
哺乳反射がなくなってくると、赤ちゃんは口を閉じて、物を飲み込むことが出来るようになってきます。
離乳食の注意点
離乳食を始める前に、以下のことに注意してください。
(注意1) 乳幼児期に多い、食物アレルギーには注意をしましょう
食物アレルギーについての詳しい内容はコチラをクリックしてください↓↓↓
離乳食を開始するにあたり、赤ちゃんの食物アレルギーが気になるママはたくさんおられると思います。
離乳食を開始する前に、アレルギーの原因となるアレルゲンを特定する検査は病院で受けることができます(血液検査等)
ただし、検査でアレルゲンの陽性反応が出てもアレルギー症状が出ない場合もあります。また、逆に、検査では陰性でもアレルギー症状が出る場合もあります。
検査はあくまでも“目安”として考えておきましょう。
アレルギーの家族歴(パパ、ママ等)があったり、すでにお子さんが何かしらのアレルギーを発症している場合には、離乳食を始める前にかかりつけの医師に相談されるのがよいでしょう。
離乳食に関する食物アレルギー対策
1. 初めて食べる食品は1食につき1種類にしましょう
アレルギー症状が出た時のアレルゲンの特定がしやすくなります。
2. 初めて食べる食品は少量から始めましょう
アレルギーの症状は食べた量に比例する場合があります。
お子さんがいくら欲しがっても、まずは少量にしましょう。
3. 初めて食べる食品は朝、又は日中にあげましょう
アレルギー症状が出た時に病院で診察を受けることが可能な時間帯にあげましょう。
特に、アレルギー症状の中でも症状の重いアナフィラキシーは即時型(I型)アレルギーに分類され、食物を摂取してから2時間以内に症状があらわれます。
お子さんの様子をきちんと確認出来る時間帯、ママに余裕のある時間帯に離乳食をあげることも大切です。
ここで、ポイント!!
食物アレルギーを引き起こすおそれのある食品の中で、発症数が多く、重篤度が高いもの
として、「小麦、そば、卵、牛乳、落花生」があります。
それ以外には「りんご、バナナ、もも、オレンジ、キウイフルーツ、大豆、山芋、ゼラチン」等も食物アレルギーの原因になりやすい食品です。
このような食品を初めて食べる際には、特に、注意してあげましょう。
ここで、注意!!
アレルギーを起こさないために、食物アレルギーの原因になりやすい食品を全て食べなければ良いというものではありません。
食事から摂取する様々な栄養はお子さんの成長・発達に大きく関わります。
平成19年に厚労省より発表された「授乳・離乳の支援ガイド」にも、食物アレルギーへの対応の基本として、「アレルギー疾患の予防や治療を目的として医師の指示を受けずにアレルゲン除去を行うことは子どもの成長・発達を損なうおそれがあるので、必ず医師の指示を受ける」と記載されています。
ママにとって、お子さんのアレルギーは大きな心配事ではありますが、ママの独断でアレルゲンの除去(食べない)をするのはやめましょう。
(注意2) 食物アレルギー以外で注意が必要な食材
NG1 はちみつ
はちみつに含まれているボツリヌス菌による感染症「乳児ボツリヌス症」を起こす危険性があります。
1歳を過ぎるまでは与えないようにしましょう。
NG2 お刺身(魚、貝)
寄生虫や細菌による食中毒を起こす危険性があります。3歳頃までは与えないようにしましょう。
赤ちゃんそれぞれに個性があり、成長・発達にも差があります。
赤ちゃん全員が同じ離乳食、同じ量である必要はありません。
離乳食は赤ちゃんの成長・発達に合わせて進めていきましょう。
そうは言っても、新米ママの中には離乳食をどのように進めていけば良いのか不安に感じるママもたくさんおられると思います。
次回は、赤ちゃんの月齢に合わせた離乳食の進め方について考えていきたいと思います。
…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!
【 “今日のすくすく赤ちゃん” のご紹介です】
大阪府の結良ちゃん
(2017年2月生まれ、身長54cm、体重4.17kg)
~メッセージ~
産まれてまだ1カ月ちょっとの赤ちゃんです。お風呂が大好きでお風呂に入ると幸せそうです。どんな女の子になるのか楽しみです。これからもすくすく元気に育ってね!
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筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長