(第8回)夜泣きと疳の虫~突然始まった夜泣き、その原因は?!~

 

”今日のすくすく赤ちゃん” の紹介は、コラムの最後に登場です

 

日々、赤ちゃんの成長を見守るママにはたくさんの悩みがあります。

 

 

赤ちゃんが生まれたばかりの頃は、ママも育児に慣れていないので、“うまくお乳があげられない”、“うまくゲップが出せない”等、ママ自身の悩みだったものが、赤ちゃんの成長に伴い、夜泣きする、なかなか体重が増えない、他の子に比べてハイハイするのが遅いといった赤ちゃん自身の悩みに変わっていきます。

 

 

その中でも大きなママの悩みについて、この夏、リニューアルする前の「ひやきおーがん」のCMでは、こう唄っていました。

♪ 赤ちゃん、夜泣きで困ったな~ ♪ ♪ かんむし、乳はき、弱ったな~ ♪

 

 

このCMでもわかるように、昔の育児ママの代表的な悩みは、夜泣き、かんむし、乳はきでした。今はどうでしょうか?

 

 

 

今でも、「育児での悩みは何ですか?」という質問には、「夜泣き」と答えるママが多くおられます。赤ちゃんの夜泣きは育児ママの大きな悩みであり、ストレスの原因になっています。

 

 

 

そこで、これまで、このコラムでは赤ちゃんの夜泣きについて考えてきました。

 

毎晩、毎晩続く、赤ちゃんの夜泣きについて、夜泣きの原因、夜泣きの対策等をみてきました。(「第3回“原因のない夜泣き”にも原因はある?!」「第4回夜泣きにサヨナラ!原因別、赤ちゃんの夜泣き対策」をご覧ください)

 

 

 

しかし、ママの中には、これまで夜泣きとは無縁だったのに、突然、お子さんの夜泣きが始まってしまい、困っているママもおられます。

 

 

 

赤ちゃんの夜泣きは、一般的に、生後2、3か月頃から始まり、9か月頃に夜泣きのピークを迎え、1才を過ぎる頃から少しずつおさまってくると言われています。しかし、お子さんの中には、2才、3才まで夜泣きをする場合もあります。

 

 

1才を過ぎてもなかなか夜泣きがおさまらない、むしろ前より夜泣きがひどくなっていることに悩むママもおられます。

 

 

一方、それまでは夜泣きもせず、夜は大人しく眠っていた子が1才前後から、急に夜泣きをするようになり、夜泣きの度に悩むママもおられます。

 

 

「どうして夜泣きをするのだろう?」

夜泣きするお子さんの姿を見て、ママはため息をつく日々が続きます。

 

 

 

そんな夜泣きをしているお子さんの普段の様子をご覧になって、何か変化はありませんか?

 

怒りっぽくなった、不機嫌な時が多い、ところかまわず泣きわめく。

しかも、そんな状態が毎日のように続くようになった…。

 

 

 

こんな時、浮かんでくるのは「疳(かん)の虫」です。

 

 

 

日本では、昔から、“癇癪(かんしゃく)”を起こす子供に対して、「疳の虫がいる」という表現が使われています。

 

 

インターネットで「夜泣き」と検索すると「疳の虫」という文字が同じように表示されているくらい、育児の中では、疳の虫は夜泣きと同じくらいよく使われている言葉のようです。おばあちゃん世代では、夜泣きの原因は疳の虫と言われる方々も多くおられます。

 

 

 

では、この「疳の虫」とは一体、何なのでしょうか。

 

 

 

虫とついてはいますが、これが昆虫の“虫”だと思っているママはほとんどおられないと思います。

「疳の虫」の「疳」は、日本の東洋医学では「疳」=「肝」とみる場合が多くあります。ここで「肝」の働きについての詳細は省略しますが、簡単にいうと「肝」は精神活動に大きく関わっています。

 

 

つまり、「疳」は精神活動、感情を示し、「虫」という言葉で感情の「乱れ」を表現しているものが「疳の虫」だと考えられます。

 

 

大人でも機嫌が悪い時には「虫の居所が悪い」という表現が使われていますよね。

 

 

「疳の虫」の症状は

・癇癪を起こす

・不機嫌

・すぐに苛立つ

・必要以上に泣く

・夜泣きがひどい

・キーキーと甲高い奇声をあげる

・人を叩いたり、噛みつく等の乱暴な行動が目立つ 等

 

 

「疳の虫」が出ているお子さんに多くみられる外見の特徴

・顔色が青白い

・眉間や左右の目の間、目尻等に青筋がみられる

・髪の毛が逆立っている 等

 

 

昔は、お子さんの顔を見ただけで「この子は疳の強い子だね」と口にするおばあちゃん達がいましたよね。おそらく、こうした外見の特徴をとらえていたのでしょうね。

 

 

では、疳の虫が出てしまったお子さんへの対応はどうすればいいのでしょうか?

 

 

感情を疳と表現するなら、「疳の虫」は全てのお子さんにいます。

 

 

赤ちゃんの心身は日々、目まぐるしいスピードで成長しています。体と心がそのスピードについていければ問題はないのですが、たいていの赤ちゃんは自分自身の成長についていけずに、心と体のバランスを崩してしまいます。

また、赤ちゃんは脳の発達も未熟なので、感情のコントロールがうまく出来ません。

 

 

成長と共に自我が発達していき、ママや周囲に対しての欲求(抱っこしてほしい、かまってほしい等)も増えていきます。

 

 

その表現方法が赤ちゃんには「泣く」しかなく、それが「夜泣き」になり、心身のバランスが崩れてしまっている小さなお子さんには「泣く」(夜泣き)の他に、「怒る」「暴れる」になってしまうのです。

 

 

「疳の虫」は心身のバランスが整ってくれば、静かになります。

 

 

“心身のバランス”、この言葉は、夜泣きの対策を考える際にも度々、出てきました。

 

夜泣きの原因として、心身のバランスの崩れがあります。

そして、「疳の虫」の原因としても、心身のバランスの崩れがあります。

夜泣きも疳の虫も赤ちゃんが、お子さんが成長していく過程であらわれる自然現象の1つです。病気ではありません。

 

 

一般的には、癇癪は1才頃から症状が出るようになり、2、3才がピークで5才頃には落ち着くと言われています。

これは、成長していく過程で、お子さん自身が自然に心身のバランスを整えていくことが出来るようになるからです。

 

 

なので、ひどい夜泣きをしたり、キーキーと奇声をあげたり、ギャン泣きしているのは、お子さんなりに感情の乱れを発散しているだけだと理解してあげてください。

 

 

無理に夜泣きを止めようとするのではなく、ママが気長に夜泣きに付き合ってあげる方が良いのかもしれません(とても難しいことだとは思います)

 

 

また、心身のバランスが崩れている赤ちゃん、お子さんは外からの刺激にも敏感です。外からの刺激、つまり、生活環境(生活リズムの乱れ、食生活の乱れ)は更に心身のバランスを崩す原因になります。

 

 

何より、“ママやパパのイライラ”を赤ちゃん、お子さんは敏感に感じとります。

夜泣きの時に、イライラしながら赤ちゃんに接すると、余計に夜泣きがひどくなったりすることもあります。

 

 

ちなみに、「疳の虫」は病気ではないと言いましたが、西洋(現代)医学では「小児神経症」という病名がつけられることが多くあります。

 

 

しかし、この「小児神経症」に対する効果的な薬物療法はまだ確立されていません。

なので、この場合の診療では、ご両親へのカウンセリングが行われ、日常生活の中でお子さんにストレスを溜めさせないようにするための指導をされるのが一般的です。

 

 

結局、お子さんを囲む生活環境の見直しで対応していくしかないのです。

 

 

とはいえ、激しい夜泣き、ギャン泣き、そばにいるママにはとても辛いことです。お子さんも1才を過ぎる頃には体重も増えます、2才ともなれば力も出てきます。乱暴な行動に出たり、激しい夜泣きで暴れたりするお子さんをなだめるママは気力も体力も消耗します。

 

連日の睡眠不足の中で、激しい夜泣きをするお子さんを見て、ついイライラしてしまうママもおられるでしょう。

 

 

そんな時は無理せず、地域の保健師に相談したり、小児鍼(はり)やお薬に助けを求めることも選択の1つです。

 

 

西洋(現代)医学の「小児神経症」には、お薬はありませんが、東洋医学の「疳の虫」にはお薬があります。それが「小児五疳薬(しょうにごかんやく)」です。

その文字通り、小児の五つの「疳」に効果のある薬です。

 

※東洋医学では、疳は五疳ともいい、5つの臓(臓器)それぞれに疳の症状があると考えられています(肝疳、心疳、脾疳、肺疳、腎疳)

 

 

 

夜泣きのお薬「ひやきおーがん」も小児五疳薬です。効能・効果には「小児の神経質、夜なき、かんむし、ひきつけ、かぜひき、かぜの熱、ねびえ(寝冷え)、下痢、消化不良、乳はき(吐乳)、食欲不振、胃腸虚弱」とあります。夜泣きの他に「かんむし」(疳の虫)にも効果があるとされています。

 

 

夜泣きのお薬「ひやきおーがん」は赤ちゃんのお薬というイメージが強いですが、「ひやきおーがん【特撰金粒】」の用法・用量には、「1才未満~16才以上」という年齢表記があります。

 

 

つまり、夜泣きをする赤ちゃんだけでなく、幼稚園、小学校に入学したお子さんの夜泣き、疳の虫、中学校、高校に入学したお兄さん、お姉さんの神経質、そして、ママ(成人)にも使用して頂けます。「ひやきおーがん」は家族皆で使用できるお薬なのです。

 

 

赤ちゃんの頃には夜泣きで悩まされ、少し大きくなってくると、次は疳の虫。

ママの悩みは尽きません。

 

 

疳の虫は早く気付くことが出来れば、それだけ早く対応が出来ます。

 

 

心身のバランスの崩れを長く放置すると、お子さんの成長と共に、チック等の症状を引き起こす可能性も出てきます。

 

 

今の夜泣きは、これまでの夜泣きと同じでしょうか?

 

 

 

夜泣きはひどくなっていませんか?

今までは、なだめれば夜泣きは止んだのに、一向に夜泣きが止まなくなっていませんか?

夜だけでなく、昼間でもギャン泣きしませんか?

 

そんな時は、普段のお子さんの様子をよく観察してあげてください。

 

 

また、これまで夜泣きとは無縁だったのに、突然、夜泣きを始めたお子さんも同じです。

 

病気が原因の夜泣きでなければ、他にも何かこれまでと違う変化があるはずです。

 

 

 

ママの優しさと頑張りで、夜泣き、疳の虫を退治しましょう!!

 

 

 

次回は、これまでいろいろと夜泣きについて考えてきました。そのおさらいをしたいと思います。

 

 

…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!

 

 

 

【 “今日のすくすく赤ちゃん” のご紹介です】

兵庫県の大河(たいが)くん(2016年9月生まれ、身長62cm、体重5.5kg)

~お祖母ちゃんから大河くんへのメッセージ~

この写真のキミは、まだ 生後2カ月にもならないのに RSウィルスに感染して 入院中のタイちゃん。高熱と手に付けられた点滴。

痛々しい状況の中での 天使のスマイルをありがとう( i _ i )
つんちゃんばぁばより

 

 

 

 

 

 

 

筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長