(第29回)育児の中の食生活~7、8カ月頃の離乳食(離乳食中期・モグモグ期)~
“今日のすくすく赤ちゃん” の紹介は、コラムの最後に登場です♥
前回のコラムでは、生後5、6カ月の離乳食ついて考えてみました。
ヒトとして、食べることを学ぶゴックン期。ここから、赤ちゃんの食生活がスタートします。
今回は、離乳食のゴックンにも慣れてきた7、8カ月頃の離乳食について考えていきましょう。
7、8カ月の離乳食
7、8カ月頃は離乳食中期、モグモグ期ともいわれ、赤ちゃんが口の中で、モグモグと舌を使って食べ物をつぶして飲み込む練習をする時期です。
お子さんに以下の様子がみられたら、少し硬さを感じる離乳食へ変更してみましょう。
○離乳食を上手にゴックンと飲み込んでいる。
○離乳食を嫌がらずに、食べている。
○食べ物に手を伸ばすなど、食欲が出ている。
離乳食&授乳・ミルクの回数
1日の中の離乳食、授乳・ミルクを与える時間帯をきちんと決め、生活リズムを整えましょう。規則正しい生活リズムは赤ちゃん自身の体内リズムを整えることにもなり、赤ちゃんの夜泣き防止にも効果があります。
離乳食の回数
1日2回で、食事のリズムをつけましょう。
授乳・ミルクの回数(目安)
母乳は赤ちゃんが欲しがるだけあげましょう。ただし、授乳のリズムをつけるようにしましょう。
ミルクは1日4~5回程度にしましょう。
離乳食の量
平成19年に厚労省より発表された「授乳・離乳の支援ガイド」によると、7、8カ月頃の1回当たりの食事量の目安は以下のように記載されています。
【区分Ⅰ】 穀類・・・全がゆ 50~80g
【区分Ⅱ】 野菜・果物・・・20~30g
【区分Ⅲ】 魚・・・10~15g
又は肉・・・10~15g
又は豆腐・・・30~40g
又は卵・・・卵黄1~全卵1/3個
又は乳製品・・・50~70g
※あくまでも目安なので、お子さんの食欲、成長・発達の状況に応じて、食事の量は調整しましょう。
離乳食のメニュー
7倍がゆ(米:水の割合=1:7)
食べられる食品が増えるので、離乳食のメニューも広がります。ママ、パパのメニューから味付け前に取り分けて使用すれば、調理の手間も省けます。
この時期から食べられる主な食品
【区分Ⅰ】
炭水化物・・・米、うどん、そうめん、食パン 等
【区分Ⅱ】
野菜・・・にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、大根、キャベツ、白菜、さつまいも、ブロッコリー、レタス、トマト、 等
果物・・・りんご、いちご、バナナ、桃、メロン、すいか 等
【区分Ⅲ】
タンパク質・・・豆腐、ひらめ、かれい、しらす、鮭、鶏ささみ、納豆、ツナ 等
【その他】
調味料・・・塩、醤油、味噌、
離乳食の与え方
新しい食品は1日に1品目だけにし、3~4日はそれを続けてみて、異常がなければ、次の新しい食品にチャレンジしましょう。
食べた後は、お子さんの様子(湿疹は出ていないか等)をよくみておきましょう。
また、食べ物に対する好き嫌いも出てきます。
新しい食品にも敏感になってきます。食べないからといって諦めず、食感や見た目を変える等して、新しい食品を食べる機会も増やしましょう(そのまま放置しておくと、食べず嫌いになる可能性もあります)
離乳食の時間帯
2回食の場合、1回目は午前中、2回目は午後にしましょう。
この時期からは職場復帰するママもおられますので、それぞれの状況にもよりますが、離乳食の後、お子さんの様子が確認できるよう、1日の中でもママに余裕のある時間帯を選ぶことをお薦めします。
調理方法
野菜、豆腐、魚類は茹でて、細かく刻んだり、粗つぶししたものをあげましょう。
硬さの目安は豆腐くらいです。
赤ちゃんは細菌等に弱いので、食品はしっかりと火を通す、食べ残したものを取って置かない等、衛生面にも気を付けてあげましょう。
また、水分が少なくパサつくものは、飲み込みにくいので、片栗粉等でとろみをつけてあげると良いでしょう。
?ママの疑問?
1.栄養バランスはどうするの?
この時期になると、食事から摂る栄養の割合が増えてきますので、栄養のバランスも考えてあげましょう。1回の食事で、炭水化物(おかゆ、うどん等)、ビタミン類(野菜、果物等)、タンパク質(豆腐、魚、肉等)がそれぞれ摂れるように心掛けましょう。
2.味つけはどうするの?
出来るだけ調味料は使わず、素材の味で与えましょう。
調味料を使用する場合は、風味づけ程度に抑えましょう。
嗜好(味覚)は5、6カ月頃から育っていくと考えられています。この時期から食べ続けていたものの味(味が濃い、塩辛い)は大人になってからの食生活にも影響します。
3.食べさせ方は?
平らなスプーンを下唇におき、上唇が閉じるのを待ちます。飲み込むのを確認してから、次の1さじを与えましょう。
飲み込むことに慣れてくると、食べ物を口の中でつぶさずに丸呑みしてしまう場合があります。そんな時は、1さじの量を減らす、次の1さじの間隔をあける、ママがモグモグしてお手本を見せる等して、丸呑みしないように注意しましょう。
ただし、この時期の赤ちゃんにはまだ奥歯が生えていません。食べ物をしっかりと噛み砕けない状態ですので、離乳食の大きさ、硬さも調整してあげる必要があります。
4.赤ちゃんのうんちの中に野菜がそのまま残っている!
この時期の離乳食は野菜もある程度の形のものを与えます。しかし、赤ちゃんの咀嚼力はまだ十分でなく、消化機能も未熟です。そのために、消化しきれなかったものがうんちにそのまま残ってしまうことがあります。
特に、ニンジンのような色鮮やかなものは目立つので、心配になるでしょうが、うんちが下痢便でなければ、そのまま離乳食を続けても問題はありません。消化機能が発達してくるとそのまま残ることは段々と減っていきます。
5.あまり食べない・・・。
この時期は、まだ母乳、ミルクである程度の栄養は補給出来ています。母乳、ミルクをきちんと飲んでいるのであれば、成長に影響はありません。
成長・発育には個人差があります。母子手帳にある成長曲線と比較して、大きく外れていなければ、あまり神経質にならなくても大丈夫です(定期的に記録をとって、成長の経過を確認しましょう)
むしろ、離乳食を食べないことを心配して、おやつをあげたり、離乳食の味つけを濃くしたりすることはやめましょう。
また、離乳食を無理強いするものやめましょう。
この時期からは、赤ちゃんに食べることは“楽しい”と教えることも大切になります。
離乳食の中にいろいろな食品を取り入れたり、食感や見た目(食器等)を変えてみたり、家族やお友達と食卓を囲む等して、赤ちゃんの“食べること”への興味を引き出すようにしましょう。
赤ちゃんの健やかな成長のためにと、一生懸命作った離乳食を残されるとママはガックリきます。「折角、作ったのに!」とイライラしてしまうこともあるでしょう。
しかし、この時期に”食べることは楽しい”ということを赤ちゃんに覚えさせることは今後の食生活において重要です。
ママがイライラしながら与える離乳食ほど、赤ちゃんにとって美味しくないものはないかもしれません。それほど、育児の中でママは大きな存在です!
最近ではいろいろなベビーフードが販売されています。ママの状況に応じて、市販のベビーフードを利用しながら、ママ自身が楽しい育児を心掛けてください(^^)
また、離乳食の量も、母乳、ミルクの量も赤ちゃんそれぞれに違いがあって当然です。
周りの赤ちゃんと比べて、焦ったりしないようにしてくださいね。
次回は、9~11カ月(離乳食後期・カミカミ期)について、考えていきたいと思います。
…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!
【 “今日のすくすく赤ちゃん” のご紹介です】
愛知県の花菜実ちゃん
(2016年9月生まれ、身長63cm、体重8.3kg)
~メッセージ~
生まれた時はごく普通の大きさでしたが、よく飲みよく寝たため丸々と大きくなり、道ですれ違う人や小児科の先生にもまん丸のお顔だねと笑われます。今は人見知りもしますが、あやされるとよく笑う子です。
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筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長