(第31回)育児の中の食生活~9~11カ月頃の離乳食(離乳食後期・カミカミ期)~
“今日のすくすく赤ちゃん” の紹介は、コラムの最後に登場です♥
第29回のコラムでは、生後7、8カ月の離乳食ついて考えてみました。
赤ちゃんが口の中で、モグモグと舌を使って食べ物をつぶして飲み込む練習をするモグモグ期。離乳食にも慣れ始めてくる時期です。
今回は、離乳食にも慣れてきた9~11カ月頃の離乳食について考えていきましょう。
9~11カ月の離乳食
9~11カ月頃は離乳食後期、カミカミ期ともいわれ、赤ちゃんが口の中で、歯茎を使って食べ物を噛む練習をする時期です。
この頃になると、一般的には、上下の乳歯が生え、奥歯の歯茎は盛り上がり、硬くなってきます。
赤ちゃんは前歯で噛み切り、歯茎で押しつぶしてカミカミするようになります。
※ただし、あくまでも目安です。
お子さんに以下の様子がみられたら、歯茎でつぶせる硬さの離乳食へ変更してみましょう。
○離乳食を上手に舌でつぶし、モグモグとした後、飲み込んでいる。
○食べ物に手を伸ばすなど、食欲が出ている(子ども用のお茶碗で約1杯程度食べられる)
○大き目の食べ物を前歯や歯茎を使って噛むしぐさを見せている。
離乳食&授乳・ミルクの回数
1日の中の離乳食、授乳・ミルクを与える時間帯をきちんと決め、生活リズムを整えましょう。規則正しい生活リズムは赤ちゃん自身の体内リズムを整えることにもなり、赤ちゃんの夜泣き防止にも効果があります。
離乳食の回数
1日3回で、食事のリズムをつけましょう。
授乳・ミルクの回数(目安)
母乳は赤ちゃんが欲しがるだけあげましょう。
ミルクは1日2回程度にしましょう。
ただし、母乳もミルクも離乳食の後にあげるようにしましょう。
離乳食の量
平成19年に厚労省より発表された「授乳・離乳の支援ガイド」によると、9~11カ月頃の1回当たりの食事量の目安は以下のように記載されています。
【区分Ⅰ】 穀類・・・全がゆ 90g ~軟飯 80g
【区分Ⅱ】 野菜・果物・・・30~40g
【区分Ⅲ】 魚・・・15g
又は肉・・・15g
又は豆腐・・・45g
又は卵・・・全卵1/2個
又は乳製品・・・80g
※あくまでも目安なので、お子さんの食欲、成長・発達の状況に応じて、食事の量は調整しましょう。
離乳食のメニュー
5倍がゆ(米:水の割合=1:5)
食べられる食品が増えるので、離乳食のメニューも広がります。ママ、パパのメニューから取り分けて使用すれば、調理の手間も省けます。
この時期から食べられる主な食品
【区分Ⅰ】
炭水化物・・・米、うどん、そうめん、食パン、マカロニ、スパゲッティ―、コーンフレーク 等
【区分Ⅱ】
野菜・・・にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、大根、キャベツ、白菜、さつまいも、ブロッコリー、レタス、トマト、きゅうり、なす、玉ねぎ、アスパラガス、もやし 等
【区分Ⅱ】
果物・・・りんご、いちご、バナナ、桃、メロン、すいか、なし、みかん 等
【区分Ⅲ】
タンパク質・・・豆腐、高野豆腐、きなこ、納豆、ひらめ、かれい、しらす、鮭、まぐろ、ツナ、あじ、鶏ささみ、鶏ひき肉、レバー、牛肉赤身、豚肉赤身、プロセスチーズ、粉チーズ 等
【その他】
調味料・・・塩、醤油、味噌、
離乳食の与え方
まだ食物アレルギーには注意が必要です。
新しい食品は1日に1品目だけにし、3~4日はそれを続けてみて、異常がなければ、次の新しい食品にチャレンジしましょう。
食べた後は、お子さんの様子(湿疹は出ていないか等)をよくみておきましょう。
また、食べ物に対する好き嫌いも出てきます。
新しい食品にも敏感になってきます。食べないからといって諦めず、食感や見た目を変える等して、新しい食品を食べる機会も増やしましょう(そのまま放置しておくと、食べず嫌いになる可能性もあります)
離乳食の時間帯
1日の中の3回目の食事は遅い時間にならないようにしましょう。
生活リズムを整えるためにも19時頃には終えるように心掛けましょう。
調理方法
火を通したものをあげましょう。
硬さの目安はバナナくらいです。
赤ちゃんはまだまだ細菌等に弱いので、食品はしっかりと火を通しましょう。特に、これからの梅雨、夏の時期は気温、湿度が高くなります。火を通しているからといって、長時間、室内に放置する事はやめましょう。
ここで、注意!!
鉄分の不足に注意してください。
赤ちゃんはママのお腹の中で鉄分をもらって生まれます(貯蔵鉄)。鉄分は成長に必要なヘモグロビンを生成することに使われますが、体が大きくなるにつれて、成長に必要なヘモグロビンの量も多くなり、貯蔵鉄だけでは不足するようになります。
そこで、赤ちゃんは自分自身で鉄分を補給しないといけなくなり、離乳食の中での鉄分補給が重要になってきます。
一般的に、母乳、ミルクの回数、量が減り、赤ちゃんの栄養の中で、離乳食の占める割合が増える生後9カ月頃は鉄分の欠乏が起きる可能性があるといわれています。
鉄分を多く含む食材
レバー、赤身魚、ほうれん草、小松菜、ひじき 等
ここで、ポイント!!
鉄分といえば、レバーというイメージは強いのですが、この時期の赤ちゃんの体内は、まだタンパク質を十分に消化できません。なので、鉄分補給のために、レバー等のタンパク質ばかりをあげるのではなく、小松菜等の野菜やひじき等もあげるようにしてください。
ママの疑問
1.栄養バランスはどうするの?
この時期になると、食事から摂る栄養の割合が半分以上になります。栄養のバランスも考えてあげましょう。
ただし、離乳食の回数も1日3回に増えます。毎回、毎回、炭水化物(おかゆ、うどん等)、ビタミン類(野菜、果物等)、タンパク質(豆腐、魚、肉等)がそれぞれ摂れるように準備するのは大変です。
総合的な栄養バランスは1週間単位で調整するようにしましょう。
1、2日くらいお野菜を食べない日、お肉を食べない日があってもかまいません。
ここで、ポイント!!
一昔前にはなかった「フォローアップミルク」
離乳食などの食事では不足しがちな栄養を補うための粉ミルクです。
鉄分だけでなくビタミンD等の栄養素が含まれています。
このフォローアップミルクの使用についての意見はさまざまです。
離乳食だけで栄養を全て摂取出来れば良いのですが、なかなかそうはいきません。
そんな時にどうするのか???
育児に「正解」はありません。ママが笑顔で楽しく育児に向き合えるために、それぞれのママの考え、状況で判断されると良いでしょう。
2.味つけはどうするの?
この時期になると味覚も発達してきます。それでも、まだまだ薄味で大丈夫です。
素材の味を中心にいろいろな味を経験させましょう。
大人の食事を取り分ける場合は、味付けをする前に取り分けましょう。
3.食べさせ方は?
丸み(くぼみ)のあるスプーンを下くちびるの上にのせ、上くちびるが閉じるのを待ちます。やわらかめのものを前歯でかじりとらせます。一口ずつモグモグした後、飲み込むのを確認しましょう。
噛みつぶさずに丸呑みしている様子が続くようなら、一旦、モグモグ期の離乳食に戻しましょう。
4.遊んでばかりで食べてくれない・・・(イライラしてしまいます・・・)
この時期になると、遊び食べが始まります。手づかみでつかんだと思ったら、放り投げる、ぐちゃぐちゃに握りつぶす、ママが食べさせようとしてもイヤイヤ、食べムラもあります。
手づかみや遊び食べは赤ちゃんが食べ物に興味を持ち、自分で食べたいという意欲のあらわれでもあり、赤ちゃんの成長過程で必ず起きることです。
この時期の赤ちゃんの食事の際には、テーブルの周囲、下に大きなレジャーシートを敷く、手づかみに備えて袖口のしっかりついたお食事エプロンをする等して、後片付けを少しでも楽にすることでママのイライラも少しは和らぐのではないでしょうか。
野菜スティックのように、手でつかみやすい形、大きさに食材をカット、調理する工夫も良いですね。
赤ちゃんに食べることは“楽しい”と教えることも大切です。
離乳食の度に、ママがイライラしていては、赤ちゃんも食べることが楽しいとは感じないはずです。
5.他の子に比べて、離乳食の進み具合が遅い・・・。
成長・発育には個人差があります。特に、このくらいの時期から、身長、体重の他にも歯の生え方、ハイハイ、つかまり立ち等、赤ちゃんの成長・発達に個人差を感じることが多くなります。なので、離乳食の進み具合も赤ちゃんそれぞれに個人差が出て当然です。
焦らずに、赤ちゃんのペースに合わせてあげてください。
尚、赤ちゃんの離乳食の量が適切かどうか(多い、少ない)については、母子手帳にある成長曲線と比較して確認しましょう。体重が増えない、体重が増え過ぎる等、成長曲線から大きく外れていなければ、あまり神経質にならなくても大丈夫です(定期的に記録をとって、成長の経過を確認しましょう)
ここまでくると、離乳食生活もあと少しです(^^)
次回は、12~18カ月(離乳食完了期・パクパク期)について、考えていきたいと思います。
…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!
【 “今日のすくすく赤ちゃん” のご紹介です】
大阪府の暁斗君
(2016年4月生まれ、身長80cm、体重10kg)
~ママからのメッセージ~
おもちゃのお花型のラッパを吹くのがマイブームの暁斗くん。1歳になって、できることがグ~ンと増えたね(o^^o)イタズラも多くなってきたけど、どんどん成長するのが楽しみです(*^_^*)
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筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長