(第32回)育児中の食生活~12~18カ月頃の離乳食(離乳食完了期・パクパク期)~

 

 

“今日のすくすく赤ちゃん” の紹介は、コラムの最後に登場です

 

 

これまでこの育児コラムでは赤ちゃんの離乳食について考えてきました。

 

 

今回は、離乳食生活のゴールが見えてきた12~18カ月頃の離乳食について考えていきましょう。

 

 

 

 

12~18カ月の離乳食

 

 

12~18カ月頃は離乳食完了期、パクパク期ともいわれ、赤ちゃんが食べ物を歯茎で噛んだり、つぶしたりできるようになる時期です。

 

 

お子さんの以下の様子がみられたら、離乳食完了期に進めてみましょう。

 

○1日3回の食事を摂れている(5倍がゆをちゃんと食べている)

○バナナや肉団子の硬さのものを歯茎でつぶせるようになっている

 

 

 

 

 

離乳食&授乳・ミルクの回数

 

 

1日の中の離乳食、授乳・ミルクを与える時間帯をきちんと決め、生活リズムを整えましょう。

 

 

 

 

 

離乳食の回数

 

 

1日3回の離乳食に、1~2回の補食(おやつ)を合わせましょう。

 

 

この時期になると、赤ちゃんの活動量も増え、その分、栄養を必要とします。しかし、赤ちゃんの胃はまだ小さく、1回で食べられる量は多くないため、食事で足りない栄養をおやつで補給することも考えましょう。

 

 

 

 

 

授乳・ミルクの回数(目安)

 

 

授乳、ミルクの回数はこれまでより減らしていきましょう。

この時期になると、離乳食から栄養を摂ることを優先しましょう。

 

 

 

 

 

離乳食の量

 

 

平成19年に厚労省より発表された「授乳・離乳の支援ガイド」によると、12~18カ月頃の1回当たりの食事量の目安は以下のように記載されています。

 

【区分Ⅰ】 穀類・・・軟飯 90g ~ご飯 80g

 

【区分Ⅱ】 野菜・果物・・・40~50g

 

【区分Ⅲ】 魚・・・15~20g

又は肉・・・15~20g

又は豆腐・・・50~55g

又は卵・・・全卵1/2~2/3個

又は乳製品・・・100g

 

※あくまでも目安なので、お子さんの食欲、成長・発達の状況に応じて、食事の量は調整しましょう。

 

 

 

 

 

離乳食のメニュー

 

 

軟飯またはご飯。

 

食べられる食品が増えるので、離乳食のメニューも広がります。ママ、パパのメニューから取り分けて使用すれば、調理の手間も省けます。

 

 

この時期から食べられる主な食品

 

【区分Ⅰ】

炭水化物・・・米、うどん、そうめん、食パン、マカロニ、スパゲッティ―、コーンフレーク、ビーフン、中華麺 等

【区分Ⅱ】

野菜・・・にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、大根、キャベツ、白菜、さつまいも、ブロッコリー、レタス、トマト、きゅうり、なす、玉ねぎ、アスパラガス、もやし、小松菜、やまいも、セロリ 等

 

【区分Ⅱ】

果物・・・りんご、いちご、バナナ、桃、メロン、すいか、なし、みかん 等

 

【区分Ⅲ】

タンパク質・・・豆腐、高野豆腐、きなこ、納豆、ひらめ、かれい、しらす、鮭、まぐろ、ツナ、あじ、鶏ささみ、鶏ひき肉、レバー、牛肉、豚肉、たらこ、ハム、プロセスチーズ、粉チーズ 等

 

【その他】

調味料・・・塩、醤油、味噌、ケチャップ、マヨネーズ

 

 

 

 

 

離乳食の与え方

 

 

食物アレルギーには注意が必要です。

 

 

エビ、カニ、牛乳もこの時期くらいから食べられるようになりますが、1日に1品目、少量にし、3~4日はそれを続けてみて、異常がなければ、量を増やす、又は、次の新しい食品にチャレンジするようにしましょう。

 

 

食べた後は、お子さんの様子(湿疹は出ていないか等)をよくみておきましょう。

 

 

 

 

離乳食の時間帯

 

 

1日の中の3回目の食事は遅い時間にならないようにしましょう。

生活リズムを整えるためにも19時頃には終えるように心掛けましょう。

おやつは食事に影響が出ない時間帯を選びましょう。

 

 

 

 

 

調理方法

 

 

火を通したものをあげましょう。生ものはまだ控えましょう。

硬さの目安は肉団子くらい(歯茎でつぶせる硬さ)です。

 

 

赤ちゃんはまだまだ細菌等に弱いので、食品はしっかりと火を通しましょう。

 

 

 

 

 

ママの疑問

 

1.栄養バランスはどうするの?

 

 

この時期になると、栄養の主体は1日3回の食事になります。栄養のバランスは大切です。

 

 

しかし、赤ちゃんが1回で食べられる量は多くはありません。その時の状況に応じて、補食(おやつ)をあげましょう。この場合のおやつとは、菓子類ではなく、果物類、乳製品、いも類などです。

 

 

最近では幼児用に、甘味の少ないビスケットやおせんべいもありますが、これらを与える場合は食事に影響が出ない程度にしましょう。

 

 

 

2.味つけはどうするの?

 

 

ほぼ大人と同じ食事にはなっていますが、味付けには注意が必要です。

目安は大人の1/3~1/4程度の味付けです。

 

 

この時期は、まだ薄味で構いません。濃い味に慣れてしまうと、薄味に戻すことは難しくなります。また、赤ちゃんの内蔵は未熟なため、濃い味は内蔵にも負担をかけます。

 

 

いろいろな味を経験させながらも、薄味を心掛けましょう。

 

 

ここで、注意!!

 

 

薄味の調理法の1つに、塩やしょうゆで味をつけるのではなく、だし、スープの味を濃くして味をつける方法がありますが、この「だし」にも注意してください。市販のだしやスープには、塩分が含まれているものが多くあります。

 

 

自宅で昆布や鰹節でだしを取るのが1番良いのですが、日々、家事や育児に追われているママにはなかなか出来ることではありません。市販のだしやスープを使用する場合は成分表示中の「食塩相当量」を確認しましょう。

 

 

2013年のWHO(世界保健機構)が推奨している幼児(1~2歳)の1日のナトリウム摂取量は食塩相当量で、男児で1.8g/日、女児で2.3g/日です。

 

 

 

3.食べさせ方は?

 

 

「手づかみ食べ」を十分にさせましょう。

赤ちゃんは口へ詰め込みすぎたり、食べこぼしたりしながら、一口量を覚えていきます。

 

 

また、手づかみ食べの重要性については、平成19年に厚労省より発表された「授乳・離乳の支援ガイド」にも以下のように記載されています。

 

「手づかみ食べ」は、食べ物を目で確かめて、手指でつかんで、口まで運び入れるという目と手と口の協調運動であり、摂食機能の発達の上で重要な役割を担う。

 

 

 

摂食機能の発達の過程では、手づかみ食べが上達することにより、コップやスプーン等の食器類が上手に使えるようになっていきます。

 

 

「手づかみ食べ」は赤ちゃんの成長、自分で食べたいという自立心を育てるためにも大切な過程です。

 

 

この時期の赤ちゃんの食事の際には、テーブルの周囲、下に大きなレジャーシートを敷く、手づかみに備えて袖口のしっかりついたお食事エプロンをする等して、後片付けを少しでも楽にしましょう。

 

 

野菜スティックのように、手でつかみやすい形、大きさに食材をカットしたり、ご飯をおにぎりにしたりとメニューを工夫するのも良いですね。

 

 

 

4.食べたり食べなかったり・・・好き嫌いしたり・・・思うように食べてくれません

 

 

この時期の食事は「食べさせる」ではなく、赤ちゃん自身が「食べる」ことを意識して、赤ちゃんの食べるペースを大切にしてあげてください。

 

 

この時期には、食べムラや好き嫌いが多くなります。

だからといって、無理強いするのはやめましょう。赤ちゃんに食べることは“楽しい”と教えることが大切です。

 

 

とは言っても、そのまま放置していては、食べず嫌いになってしまいます。

なので、日を置いて再度出す、調理法、見た目を変える等して、食べない(嫌がった)食材も定期的に食卓へ出すようにしましょう。

 

 

ママやパパが美味しそうに食べるのを見せるというのも1つの方法です。

 

 

そして、何より、空腹を感じれば食欲も進みます。

日中はよく運動させるなどして、赤ちゃんに空腹を感じさせることも大切です。

 

 

 

5.外食したいけど、いろいろ心配・・・

 

 

外出したついでに食事(外食)をして帰りたい、そんな時もありますよね。

でも、外食するとなると気になるのが、「行儀よく食べるか?」「周りの人に(大声等で)迷惑をかけないか?」ではないでしょうか。

 

 

赤ちゃん連れで外食する際には、行列しているような人気店、幼児が入れないような雰囲気のお店は避けましょう。可能であれば、混雑する時間帯は避けるのも良いかもしれません(ゆっくり食事がしやすいですね)

 

 

幼児用の椅子や食器の準備があるファミリーレストランは赤ちゃん連れでも利用しやすいお店です。

 

 

この時期には赤ちゃんは座って食事が出来るようになっていますので、幼児用の椅子を借りて座らせてみましょう。イヤイヤするならママの横、又は膝の上で抱っこ。

 

 

以下のものはあらかじめ準備しておくと便利です。

 

使い捨てのエプロン・・・周囲を汚さないために。

 

ぬるめのお湯・・・味の濃いものはササっとゆすいで塩分を取る、スープやお味噌汁は薄めるために。

 

普段使っているスプーンやフォーク・・・お店の備えつけのものでは、形状が違うので、食べてくれないといった場合に備えて。

 

 

ここで、注意!!

 

 

外食時に、市販のベビーフード、又は自宅で用意したベビーフードを持って行きたいと思われるママ、店内で持ち込んだベビーフードを食べさせても良いかどうかは一度、店員さんに確認をした方が良いでしょう(赤ちゃん連れなので、事前に確認しておけば、OKしてくれる場合が多いと思います)

 

 

一般的に、飲食店にとって、持ち込みは歓迎されるものではありません。

ここは、お客としてのマナーも忘れずに(^^)

 

 

 

ママも時には外食したいですよね。この時期になると、離乳食といってもほぼ大人の食べ物に近くなりますので、外食をしやすくなります。

 

 

お店の味付けは大人向けです。食感が歯ごたえのあるものも多くあります。

その都度、ママがチェックしてあげて下さい。

 

 

 

 

 

ここまでくれば、大変だった離乳食生活もゴール目前です。

ホッとするママ、ちょっと淋しくなるママ、いろいろおられると思います(^^)

 

 

今、離乳食生活で毎日が大変!と思われているママ、離乳食生活はいつか必ず終わります。それまで、ファイト~(^^)

 

 

 

次回は、離乳食完了期後の幼児食について考えていきたいと思います。

 

 

…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!

 

 

 

【“今日のすくすく赤ちゃん”のご紹介です】

 

32回

 

兵庫県の聡君

(2016年10月生まれ、身長77cm、体重7.7kg)

 

~ママからのメッセージ~

4つ上のお兄ちゃんが大好きで、お兄ちゃんと遊んでいる時は声をあげて大笑い。いつもニコニコ、よく動いて目が離せないけど、可愛らしいヤンチャぶりに家族そろってメロメロです。

 

 

 

 

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筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長