(第33回)育児中の食生活~1歳半~2歳頃の幼児食~
“今日のすくすく赤ちゃん” の紹介は、コラムの最後に登場です♥
これまでこの育児コラムでは赤ちゃんの離乳食について考えてきました。
離乳食を初めた頃は、ほぼ水分のおかゆしか食べられなかった赤ちゃんがしっかりと自分で食事をとれるようになり、ママもホッと一安心。
さぁ、これからは大人と一緒の食事で・・・というわけにはまだいきません(^^;)
離乳食が終わっても、この時期の子どもはまだ噛む力が弱く、消化器官も未熟なため、すぐに大人と同じ食事が出来るわけではありません。
そこで、今回は、離乳食が完了した後の1歳半~2歳頃の幼児食について考えていきましょう。
幼児食とは
母乳やミルクの補助なしで、食事のみで栄養が摂れるようにした食事です。
お子さんに以下の様子がみられたら、幼児食に進めてみましょう。
〇1日3回の食事に慣れている
〇食べ物を噛み切るだけでなく、歯茎や歯全体を使ってすりつぶすような噛み方が出来ている
〇コップから水分が飲めるようになっている
幼児食の量
平成26年に厚労省より発表された「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」によると、1~2歳の1日の推定エネルギー必要量は以下のように記載されています。
男児950kcal、女児900kcal
20~40代女性の1日の推定エネルギー必要量は約2,000kcalですので、「ママの食事量の半分」を目安にするのも良いでしょう。
ここで、注意!!
ママの食事量は適量でしょうか?
ママの中にはダイエット中だったり、体型維持を意識して食事量を減らしているママがいるのでは?
ママがきちんと適量を食べることで、「ママの食事量の半分」が目安になるので、その点は注意してあげてくださいね。
それぞれの栄養素の摂取量
平成26年に厚労省より発表された「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」によると、
1日当たりの摂取量の基準は以下のように記載されています。
たんぱく質 20g
脂質 20~30g
n-6系脂肪酸 5g
n-3系脂肪酸 0.7~0.8g
炭水化物 50~65%(1日の推定エネルギー必要量に対して)
ビタミンA 350~400μgRAE
ビタミンD 2.0μg
ビタミンE 3.5mg
ビタミンK 60μg
ビタミンB1 0.5mg
ビタミンB2 0.5~0.6mg
ナイアシン 5mgNE
ビタミンB6 0.5mg
ビタミンB12 0.9μg
葉酸 90μg
パントテン酸 3mg
ビタミンC 35mg
ナトリウム(食塩相当量) 3.0~3.5g以下
カリウム 800~900mg
カルシウム 400~450mg
鉄 4.5mg
ここで、ポイント!!
普段、あまり聞きなれない栄養素について。
【n-6系脂肪酸】
代表的なものはリノール酸です。大豆油、コーン油、サフラワー油等の多く含まれています。マヨネーズも油から出来ています。
【n-3系脂肪酸】
代表的なものは魚類に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)です
【ナイアシン】
皮ふや粘膜の健康維持を助ける働きがあります。広く食品に含まれていますが、特にレバー、魚、肉などに多く含まれています。
【葉酸】
ビタミンB12と協力して、血液をつくる働きがあります。広く食品に含まれていますが、特に、レバー、ほうれん草、ブロッコリーといった緑黄色野菜、いちごなどに多く含まれています。
【パントテン酸】
皮ふや粘膜の健康維持を助ける働きがあります。広く食品に含まれていますが、特にレバー、納豆、鮭やいわしなどの魚介類、肉類、卵などに多く含まれます。
こんなにいろいろな栄養素を考えないといけないの?!と不安になられたママ、大丈夫です(^^)
パントテン酸、ナイアシン、葉酸は通常の食生活をしていれば、不足する心配はないとされています。
一方、ビタミン類や鉄分、カルシウムは不足しがちな栄養素です。
最近では、いろいろなサプリメントが出ています。日常生活で不足しがちな栄養素は手軽なサプリメントで補給されているママも多くおられると思います。
そこで、ついつい、お子さんにも・・・と思われるかもしれませんが、
ここで、注意!!
ビタミン類の中には“摂り過ぎるといけない”ビタミンがあります。
例えば、ビタミンAは摂り過ぎると肝臓に蓄積され肝障害などの副作用を起こすといわれています。そのため、先程の食事摂取基準の中でも耐用上限量が設定されています。
1~2歳の場合は600μgRAEという耐用上限量があります。
このように、ビタミンならいくらでも摂れば良いというわけではありません。
最近では、カルシウムや鉄分のようなミネラル成分については、子ども用のサプリメントが市販されています。
大人のサプリメントは大人のためのものです。ビタミンといえども、お子さんへのサプリメントの使用はくれぐれも注意してあげてください。
そして、体に必要な栄養は出来るだけ、食事から摂るように心掛けてください!!
ここで、ポイント!!
農林水産省HPの「世代・ライフタイル別トピックス」の中の「ジュニア世代編」では、カルシウムが多くとれる食品として、以下の記載があります。
食品名 摂取量 カルシウム含量
牛乳 コップ1杯(200g) 220mg
ヨーグルト 1パック(100g) 120mg
プロセスチーズ 1切れ(20g) 126mg
小松菜 1/4束(70g) 119mg
菜の花 1/4束(50g) 80mg
水菜 1/4束(50g) 105mg
切り干し大根 煮物1食分(15g) 81mg
ひじき 煮物1食分(10g) 140mg
さくらえび(素干し) 大さじ1杯(5g) 100mg
ししゃも 3尾(45g) 149mg
木綿豆腐 約1/2丁(150g) 180mg
納豆 1パック(50g) 45mg
厚揚げ 1/2枚(100g) 240mg
体内でのカルシウムの利用効率を高めるには、ビタミンDが必要です。ビタミンDを多く含む食品には、イワシ、サンマ、鮭といった“魚”、キクラゲ、シイタケといった“きのこ”などがあります。
また、ビタミンDは、日光を浴びることにより体内で生成されますので、日中、外で元気に遊ぶことも重要です。
離乳食のメニュー
離乳食が終わっても、まだ噛む力が弱く、消化器官も未熟です。歯の本数も少ないため、食材は大きすぎない、硬すぎないを心掛けてあげてください。
お子さんの歯の生え方や噛む力の発達に合わせて調理法は調整してあげてください。
味付けは薄味にしましょう。濃い味に慣れてしまうと、薄味に戻すことは難しくなります。この時期から濃い味に慣れてしまうと、大人になってから生活習慣病のリスクが高くなる可能性があります。お子さんの将来の健康のために、薄味を心掛けましょう。
メニュー構成の理想は、
ご飯(炭水化物)
主菜(肉、魚、豆類)
副菜(野菜中心)
汁物
・・・ですが、毎食、毎食でこれらを完璧に準備するのは大変です。
汁物を具だくさんにしたり、ご飯を炊き込みご飯にしたりすれば、副菜と兼ねることが出来ます。カレーやシチュー(単品)の日があっても構いません。1週間の献立でみたときに、バランスよく食事が摂れていたらOK!
それでも、食の細いお子さんもいれば、その日、その日のママの状況もあります。
「今日はあまり食べてないないな」と思うような時には、「おやつ」で栄養補給です。
この場合のおやつとは、菓子類ではなく、果物類、乳製品、いも類などです。小さいめのおにぎりや甘味の少ないパンも良いでしょう。さつまいもを小さくカットして、耐熱容器の中に少しの水と一緒にラップをしてレンジでチンすれば、蒸しいもが簡単にできます。
最近では幼児用に、甘味の少ないビスケットやおせんべいもあります。これらも“たまには”、あげても良いでしょう。
幼児食を食べる頃のお子さんには、自我が芽生え始め、個性も出てきますので、ママの悩みも多くなります。
次回は、幼児食に関するママの悩みについて考えていきたいと思います。
…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!
【 “今日のすくすく赤ちゃん” のご紹介です】
兵庫県の絆那ちゃん
(2015年11月生まれ、身長78cm、体重9.8kg)
~ママからのメッセージ~
ゴハンもオヤツも大好き!絵本もお歌も大好き!これからもたくさん食べてたくさん遊んで、元気にすくすく育ってね♫
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筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長