(第48回)秋に多いお子さんの病気~RSウィルス感染症~

 

 

“今日のすくすく赤ちゃん” の紹介は、コラムの最後に登場です

 

 

 

9月も中旬を迎え、日中の気温もやや下がり始め、秋の気配を少しずつですが感じるようになってきました。

 

 

 

最近になって、目にするようになってきたのが「RSウィルス感染症」に関するニュースです。

 

 

国立感染症研究所のホームページによると、RSウィルス感染症は例年、夏頃より始まり秋に入ると報告数が急増し、年末をピークに春まで流行が続くことが多いのですが、平成29年は7月上旬から報告数が急増しており、9月頃から急増した過去数シーズンと比較すると早い時期からの増加となっています。

 

 

平成29年8月21日~27日の患者報告数は過去10年間の同時期と比較すると最も多いとも報告されています。

 

 

RSウィルス感染症は乳幼児がいるご家庭では注意が必要な感染症です。

そこで、今回は、「RSウィルス感染症」について考えていきます。

 

 

 

 

RSウィルス感染症とは

 

 

RSウィルス(respiratory syncytial virus)の感染によって発症する呼吸器感染症です。

 

 

子どもから大人まで年齢を問わず感染します。

特に乳幼児が多く感染し、生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%の子どもが少なくても1度はRSウィルスに感染するといわれています。

 

 

感染力が強く、しかも免疫が出来るスピードが遅いため、何度も感染と発病を繰り返しますが、徐々にその症状は軽くなっていく傾向があります。

 

 

 

ここで、注意!!

 

 

赤ちゃんは、ママのお腹にいる時は胎盤から、生まれてからはお乳から、ママが持っている免疫(抗体)をもらっています。

 

 

それにより生後6カ月頃までの赤ちゃんは病気にかかりにくいとされていますが、RSウィルスは母体からの移行抗体だけでは感染防御が不十分なため生後数週間から生後数カ月の赤ちゃんでも感染する恐れがあります。

 

 

RSウィルス感染症は乳幼児期においては重要な疾患です。

 

 

 

 

 

潜伏期間、症状

 

 

潜伏期間は2~8日間とされていますが、主に4~6日間であることが多いです。

 

 

症状は

 

【軽度の症状】

〇乾いた咳

〇発熱(乳幼児の場合は38~39℃)

〇鼻水

 

 

年長児や成人では軽い風邪の症状で済む場合が多いです。

初期感染乳幼児の場合、約7割は数日のうちに軽快します。

 

 

 

【重症化の症状】

〇咳がひどくなる

〇呼吸が浅くなる

〇痰がからむ

〇喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューする)

〇多呼吸(1分間に60回)

〇眠れない

 

 

初期感染乳幼児の場合、約3割が重症化します。

場合によっては、細気管支炎、肺炎へと症状が悪化します。

 

 

 

 

 

治療(対処法)

 

 

“RSウィルス”に対するお薬はありません。

 

 

基本的に治療は対処療法(症状を和らげる治療)が行われます。

発熱には解熱剤、咳には鎮咳薬、気管支拡張薬、去痰薬といったもので症状を緩和します。

 

 

水分補給、栄養補給を行い、十分な睡眠をとって安静にしておくことも大切です。

 

 

重症化した場合は入院して酸素投与や吸入療法などの治療を行います。

 

 

 

ここで、注意!!

 

 

生後1カ月未満の赤ちゃんがRSウィルス感染症になると、非定型的な症状により診断が困難な場合があり、また突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあります。乳幼児の突然死症候群の原因の一部であることが明らかになっています。

 

 

また、早産児、先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全が存在する場合は重症化のリスクが高まります。

 

 

 

ここで、ポイント!!

 

 

早産児、先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全を持つ乳児では、モノクロナール抗体を流行期に月1回筋肉注射することによって“軽症化”が期待できます。

 

 

このようなお子様をお持ちのママで心配な方はかかりつけのお医者様に相談されてみてください。

 

 

 

 

 

感染経路、感染期間

 

 

RSウィルスの感染経路はくしゃみや咳などの際に出る飛沫によって感染する「飛沫感染」、唾液、鼻水がついた物や手に触れることで感染する「接触感染」です。

 

 

感染期間は3~8日ですが、乳幼児では3~4週間持続することもあります。

 

 

 

ここで、注意!!

 

 

再感染以降、年長児や成人ではRSウィルス感染症であっても風邪のような症状や気管支炎症状のみである場合が多いため、RSウィルス感染症とは気づかない場合があります。

知らない間にご家庭にウィルスを持ち込んでいたという可能性があります。

 

 

その状態でRSウィルスに未感染の乳幼児に安易に接触するとRSウィルス感染症をうつしてしまう可能性があります。

 

 

風邪のような症状、呼吸器症状がある場合にはマスクを着用し、手洗い(又は消毒)をきちんと済ませた手指で乳幼児には接するようにしましょう。

 

 

また、ご家族に幼稚園以上のお兄ちゃん、お姉ちゃんがいる場合は注意しましょう。

「風邪のひき始め」、「軽い風邪程度」、「ちょっと喉が痛い」と思っていたら…です。

もちろん、ママ自身、パパ自身も注意してくださいね。

 

 

 

ここで、ポイント!!

 

 

“手洗い”ですが、外出から戻ってきたとき、おトイレを済ませたときは皆さんも手洗いをしっかりとされると思いますが、感染症を防ぐためには、鼻をかんだ後にも手洗いをすることがお奨めです。

 

 

RSウィルス感染症のような「接触感染」で感染が拡がるものは唾液や鼻水がついた物や手に触れることでも感染します。

 

 

また、調理の前、食卓の準備をする前にはよく手を洗いましょう。

 

 

 

 

ここで、疑問?? 外出、登校はどうしたら良いの??

 

 

RSウィルス感染症には出席停止といったような明確な基準はありません。

ですので、お医者様や学校の考えにより様々です。

 

 

目安としては「発熱、咳などの症状が安定し、全身状態がよいこと」ですが、RSウィルス感染症は乳幼児がいる保育園では感染が拡大する可能性がありますので、幼児のいるご家庭では通われている保育園の指示に従ってください。

 

 

 

 

 

RSウィルス感染症はインフルエンザに比べると一般的な関心が低いですが、乳幼児にとっては大変危険な感染症です。これらの季節は風邪、インフルエンザだけでなく、RSウィルス感染症にも注意をしてください。

 

 

 

いよいよ秋本番へ向かいます。夏の暑さも去り、屋外で過ごすには快適な気候になります(^^)

秋は運動会や遠足など、お子さんにとって楽しみな行事も多くあります。

 

 

お子さんが楽しい秋を過ごせるよう、ママには是非、日々のお子さんの体調管理に注意をしてあげて頂きたいと思います。

 

 

そこで、次回は、秋に多いお子さんの病気について考えていきたいと思います。

 

 

…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!

 

 

 

“今日のすくすく赤ちゃん” のご紹介です】

 

48

 

大阪府の暁斗くん

(2016年4月生まれ、身長82cm、体重11kg)

 

~ママからのメッセージ~

前回(2016年11月)の応募のときにはまだハイハイ前だった暁斗ですが、今では外で自分の足でお散歩できるようになりました!写真は初めての外でのお散歩のときのものです。緊張しているので、真顔になっています(^^;)
暁斗、これから自分の足でのお散歩に慣れていこうね。ゆっくりでいいからね(*^^*)

 

※暁斗くんは第9回のコラムに登場してもらったすくすく赤ちゃんです(^^)

(第9回)赤ちゃんの夜泣きについて~総まとめ~

 

 

 

 

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筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長