(第50回)秋から注意!!インフルエンザ①~インフルエンザ脳症~
“今日のすこやかキッズ” の紹介は、コラムの最後に登場です♥
9月も終わりに近づき、医療機関の窓口などで目にするようになった「インフルエンザ(ワクチン)」の文字に秋の訪れを感じます。
秋から冬は「感染症」が流行しやすい時期です。
感染症の中でも特に気をつけないといけないものに「インフルエンザ」があります。
そこで、今回は、「インフルエンザ」について考えていきます。
インフルエンザとは
インフルエンザウィルスの感染によって発症する呼吸器感染症です。
一般の「かぜ症候群(いわゆる、風邪)」とは区別され、風邪よりも重症化しやすい疾患です。
インフルエンザの原因となるインフルエンザウィルスは、A型、B型、C型に大きく分類され、このうち大きな流行の原因となるのはA型とB型です。特にA型は大流行しやすく、B型は局地的流行にとどまることが多いです。
A型インフルエンザウィルスはその抗原性を小さく変化させながら、毎年、世界中で流行します。これを季節性インフルエンザと呼びます。一般的に使われている「インフルエンザ」はこの季節性インフルエンザのことです。
日本では、例年11月末から12月にかけて始まり、1月末から2月上旬にかけてピークを迎えます。
一方、新型インフルエンザは、抗原性が大きく異なるインフルエンザウィルスの感染によって引き起こされるインフルエンザをいいます。新型インフルエンザはいつ、どこで発生するのかは誰にも予測することは困難です。
ここで、ポイント!!
季節性インフルエンザは一度感染すると、その原因となったインフルエンザウィルスに対する抗体(免疫)が体内に出来ます。そのため、従来から流行している季節性インフルエンザに対しては、多くの人が体内に抗体を持っています。
しかし、新型インフルエンザは前年まで一度も流行したことのないものなので、多くの人が抗体を持っていないため、感染は拡がりやすいのです。
ここで、豆知識!!
日本には「学校保健安全法(昭和33年4月10日法律第56号)」という法令があります。
学校における児童生徒等及び職員の保健管理並びに安全管理に関する法令です。
学校保健安全法施行規則(昭和33年6月13日文部省令18号)は、学校保健安全法の規定を実施するために定められたものです。
その学校保健安全法施行規則の中で、感染症の予防として、学校において予防すべき感染症の種類が下記に分類されています。
【第1種感染症】
危険性が極めて高い感染症
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、ペスト、マーブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎(ポリオ)、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がSARSコロナウィルスであるものに限る)、鳥インフルエンザ(病原体がA型インフルエンザウィルスで、その血清亜型がH5N1であるものに限る)
出席停止の期間の基準が「治癒するまで」
【第2種感染症】
飛沫感染をする感染症で児童生徒等の羅患が多く、学校において流行を広げる可能性が高いもの。
インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1)を除く)、百日咳、麻疹(はしか)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、風疹、水痘(みずぼうそう)、咽頭結膜熱、結核、髄膜炎菌性髄膜炎
出席停止の期間の基準は感染症ごとに個別に定められている。ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りでない。
【第3種感染症】
学校教育活動を通じ、学校において流行を広げる可能性があるもの。
コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎
出席停止の期間の基準は、共通して「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」
【第3種感染症 その他の感染症】
学校で流行が起こった場合にその流行を防ぐため、必要があれば、校長が学校医の意見を聞き、第3種の感染症としての措置をとることができる疾患。
溶連菌感染症、A型肝炎、B型肝炎、手足口病、ヘルパンギーナ、伝染病紅斑(リンゴ病)、ロタウィルス感染症、ノロウィルス感染症、サルモネラ感染症(腸チフス、パラチフスを除く)、カンピロバクター感染症、マイコプラズマ感染症、インフルエンザ菌b型感染症、肺炎球菌感染症、RSウィルス感染症、EBウィルス感染症、サイトメガロウィルス感染症、単純ヘルペス感染症、日本脳炎、アタマジラミ、伝染性軟属腫(水いぼ)、伝染性痂膿疹(とびひ)、疥癬、皮膚真菌症など
インフルエンザは第2種感染症に分類されています。
インフルエンザの潜伏期間、症状
潜伏期間は1~4日間、平均は2日間です。
症状は
〇悪寒
〇頭痛
〇発熱(39~40℃)
〇鼻水
〇のどの痛み
〇吐き気、嘔吐
〇腹痛、下痢
〇関節痛、筋肉痛
〇全身の倦怠感
インフルエンザの症状は急激に発症します。
ここで、ポイント!!
風邪の症状は比較的ゆっくりとあらわれるのに対し、インフルエンザの症状は急激にあらわれます。また、関節痛や倦怠感などの全身症状があらわれることもインフルエンザの特徴です。
ここで、注意!!~インフルエンザ脳症~
インフルエンザの合併症として、肺炎、脳症、中耳炎、心筋炎、筋炎などがあります。この中でも「脳症」を併発した場合は、けいれんや意識障害を起こし、精神運動遅滞の後遺症を残したり、最悪の場合は死に至る場合があります。
インフルエンザ脳症とは
インフルエンザウィルス感染後に発症する急性脳症です。
年齢を問わず発症しますが、主に1歳~5歳の幼児に多く発症します。
幼児、高齢者の場合は重症化しやすいといわれています。
症状の進行
インフルエンザの発熱から数時間~1日で、意識障害、けいれん、異常行動、異常言動といった神経症状があらわれます。
異常行動、異常言動の事例
〇突然、部屋を飛び出して廊下でオシッコをした。
〇自分の手をハムだと言ってかじりついた。
〇アニメキャラクターが部屋にいると言い出した。
〇両親の認識ができない。
〇赤ちゃんのようなしゃべり方で何を言っているのかわかない。
ここで、注意!!
幼児の場合、発熱により熱性けいれんを起こすことがありますが、必ずしも熱性けいれん=脳症というわけではありません。けいれんが起こったら、慌てずお子さんの様子を観察しましょう。
脳症と熱性けいれんの違いはお医者様でもすぐには区別がつかないといわれています。けいれんの前後に異常行動、異常言動があったり、けいれんの時間が長く続くような場合注意が必要です。
また、異常行動についても小児の場合は高熱そのもののために異常行動を起こすことも珍しくありません(熱せんもう)
脳症と熱せんもうとの違いはまだ十分にわかっていません。異常行動が長く続くときや異常行動の他にけいれんが伴う場合は注意が必要です。
いずれにしても、脳症は進行が早く、少しでも早く診断を受け、治療を始めた方が後遺症も軽く済む可能性があります。
お子さんがインフルエンザにかかってしまったら、上記のような症状がみられないか注意してあげてください。
インフルエンザはその症状だけでも辛いものですが、合併症を起こす可能性もあり、特に小さなお子さんには心配な感染症です。
そこで、次回は、インフルエンザの予防法~ワクチン~について考えていきたいと思います。
…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!
【 “今日のすこやかキッズ” のご紹介です】
神奈川県の行くん
(2010年12月生まれ)
~ママからのメッセージ~
とても走るのが早い子です。運動神経が良いです。将来の夢はサッカー選手かアクション俳優になることです。
《お知らせ》
現在、このコラムに登場してくれる3歳くらいまでの「すくすく赤ちゃん、キッズ」、小学6年生までの「すこやかキッズ」を募集中です!
詳細はこちらをクリックしてください↓↓↓
たくさんの赤ちゃん、キッズの応募をお待ちしております!
筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長