(第51回)秋から注意!!インフルエンザ②~インフルエンザワクチン~
“今日のすくすくキッズ” の紹介は、コラムの最後に登場です♥
10月に入り、街中ではチラホラと咳き込む人を見かけるようになりました。
すっかり秋の気候となり、朝晩はしっかりと寒さを感じるようになってきました。
これからの時期は体調管理をしっかりしないといけません。
そこで、今回は、前回に引き続き“インフルエンザ”をテーマに、「インフルエンザワクチン」について考えていきます。
ワクチンとは
私たちの体には、外から侵入してきたウィルスや細菌等の“異物”を攻撃し、退治しようとする「免疫」という機能があります。この免疫機能のおかげで、私たちは日常の中で病気にならずに過ごすことができています。
この免疫機能を利用したものが「ワクチン」です。
病原体の毒性を無毒化、または弱めたもの(これをワクチンと言います)を接種することにより、あらかじめ体内で病原体に対する免疫を作りだし、その後、病原体が体内に侵入しても(感染しても)発症を予防したり、症状を軽度で済ませることができます。
ワクチンの分類
ワクチンは大きく「生ワクチン」、「不活化ワクチン」の2つに分類されます。
生ワクチン
病原体は生きていますが、感染症を起こす能力を弱めたものです。これを接種すると、体内で病原体となるウィルスや細菌が徐々に増えるため、その病気に自然にかかった状態とほぼ同じ免疫力がつきます。
【代表的な生ワクチン】
MR(麻しん風しん混合)ワクチン、水痘(みずぼうそう)ワクチン、BCG(結核)、おたふくかぜワクチンなど。
不活化ワクチン
病原体の感染症を起こす能力を無くしたものです。これは接種しても生ワクチンに比べて免疫力がつきにくいので、数回に分けて接種します。
【代表的な不活化ワクチン】
DPT-IPV四種混合(ジフテリア(D)百日せき(P)破傷風(T)不活化ポリオ(IPV))ワクチン、DT二種混合(ジフテリア(D)破傷風(T))ワクチン、日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチン、不活化ポリオワクチンなど。
インフルエンザワクチンの効果、持続期間
一般的に、インフルエンザワクチンは、重症化防止効果や発症予防効果が期待されていますが、感染防止効果については保証されていません。つまり、インフルエンザワクチンを接種したからといって、必ずしも“インフルエンザに感染しない”ということではありません。
ただ、感染した場合の症状が重症化するリスクは低いことが期待されます。
インフルエンザワクチンの効果はインフルエンザワクチンが接種後2週目から抗体が上昇し始め、1カ月でピークに達し、約5カ月間持続します。
インフルエンザワクチンの接種回数、接種時期
インフルエンザワクチンの接種回数は年齢によって違います。
生後6カ月~12歳 2回接種 (1回目の接種から2~4週間後に2回目の接種)
13歳~ 1回接種
<厚生労働省ホームページより>
※1回目の接種時に12歳で、2回目の接種時に13歳になっていた場合でも、12歳として考えて2回目の接種を行って頂いてもかまいません。
※13歳以上の基礎疾患(慢性疾患)のある方で、著しく免疫が抑制されている状態にあると考えられる方等は、医師の判断で2回接種となる場合があります。
ここで、ポイント!!
インフルエンザワクチンは流行前に2回目の接種が終わるようにすることをおススメします(遅くとも12月上旬)
2回接種の必要がある年齢のお子さんの場合は10月中には1回目の接種を済ませておいた方が良いでしょう。
また、1回目と2回目の接種期間が体調不良などで4週間以上あいてしまっても、ワクチン接種の効果はありますので、1回目からやり直す必要はありません。
シーズン中は医療機関によっては、ワクチンを接種しようと来院しても「予約でいっぱい」の場合もあります。予約をしてやっと接種できる頃には適切な時期が過ぎてしまっていてはワクチン接種の効果が得られない可能性もあります。計画的にワクチン接種をしましょう。
妊婦、授乳婦のインフルエンザワクチン接種について
国立研究開発法人国立成育医療研究センターのホームページによると、妊娠中のインフルエンザワクチンの接種については、以下のように記載されています。
「日本で使用されるインフルエンザワクチンは、生ワクチンではないので、重篤な副作用は起こらないと考えられ、一般的に妊娠中のすべての時期において安全であるとされています。妊娠初期に従来のインフルエンザワクチンを接種しても奇形のリスクがないという研究結果もあります。」
また、厚生労働省のホームページでは、授乳中のインフルエンザワクチンの接種については、以下のように記載されています。
「授乳期間中でも、インフルエンザワクチンを接種しても支障はありません。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンというタイプで、病原性をなくしたウィルスの成分を用いているため、ウィルスが体内で増えることがなく、母乳を介してお子さんに影響を与えることはありません。」
妊娠中のママ(プレママ)も授乳中のママもインフルエンザワクチンの接種には問題はないようです。
妊婦がインフルエンザを発症すると、肺炎など重症化しやすいといわれています。
授乳中の母親の場合なら、常に母親と密着している子どもへの感染も懸念されます。
インフルエンザについて、インフルエンザワクチン接種について、心配なママはお医者様に相談されるようにして下さい。
子どものインフルエンザワクチン接種について
厚生労働省のホームページでは、新型インフルエンザ発生当時、以下のように記載されています。
「1歳未満のお子様は、予防接種によって免疫をつけることが難しいため、お子様本人は優先的に接種する対象者に含めず、その保護者を優先的に接種することとしています。」
また、乳幼児(6歳未満)に対するインフルエンザワクチン接種についての日本小児科学会の見解では(ホームページより)、以下のように記載されています。
「1歳未満児については対象が少なく、有効性を示す確証は認められなかった。」
お子さん自身の体質などのこともあります。心配なママはお医者様に相談されるようにして下さい。
インフルエンザワクチンの副反応
私達が日常でよく耳にする「副作用」とは、疾病治療薬による投与目的以外の作用をいいます。
ワクチン接種による免疫の付与以外の作用は「副反応」といいます。
【主な副反応】
〇接種した場所(局所)の赤み(発赤)
〇はれ(腫張)
〇痛み(疼痛) など
これらは、接種を受けた人の10~20%に起こりますが、通常2~3日でなくなります。
【全身性の副反応】
〇発熱
〇頭痛
〇寒気(悪寒)
〇だるさ(倦怠感) など
これらは、接種を受けた人の5~10%に起こりますが、通常2~3日でなくなります。
【まれに起こる副反応】
〇ショック
〇アナフィラキシー症状(発疹、じんましん、赤み(発赤)、掻痒感(かゆみ)、呼吸困難等)
これらは、ワクチンに対するアレルギー反応です。接種後、比較的すぐ起こることが多いことから、接種後30分間は接種した医療機関内で安静にして下さい。
また、これ以外にも何か異常を感じられたらすぐにお医者様に相談するようにして下さい。
ここで、注意!!
インフルエンザワクチンの製造過程で鶏卵を使用するため、卵アレルギーのあるお子さんなどはインフルエンザワクチンの接種前に必ずお医者様に相談するようにして下さい。
インフルエンザワクチンは高齢者を除いて、“任意接種”です。
ママ、パパ自身が自分自身に対しても、お子さんに対しても接種するかどうかを判断しなくてはいけません。インフルエンザワクチンの接種には適切な時期があります。
気になるようでしたら、早めにお医者様に相談されるようにして下さい。
次回は、インフルエンザの対処法~インフルエンザのお薬~について考えていきたいと思います。
…今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!
【 “今日のすくすくキッズ” のご紹介です】
茨城県の彩花ちゃん
(2005年3月生まれ)
~ママからのメッセージ~
赤ちゃんの頃にけいれんを起こして入院してから病弱でいろいろ心配しましたが、今はお洒落が大好きな女の子になりました。ファッションショーや写真館のモデルをさせていただき、素敵な着物やお洋服を着ることができたのは、素敵な思い出です。
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筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長