(第74回)お子さんの花粉症について③~東洋医学からみた花粉症~

 

 

 

“今日のすくすく赤ちゃん” の紹介は、コラムの最後に登場です

 

 

 

 

各地で桜も開花し、九州地方では満開を迎えている地域もあるようです。桜を見ていると、春の訪れを実感できます。一方では、春の訪れを体感されている方々もおられると思います。

“花粉症”です。

 

 

 

これまで、この育児コラムでは、花粉症について考えてきました。今回は花粉症について、東洋医学の視点から考えてみたいと思います。

 

 

 

 

東洋医学の視点でみる花粉症

 

 

まずは、東洋医学での人体の構成について説明します。

 

 

東洋医学では、人間の身体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素から構成されていると考えられています。それぞれの働きは、

 

気…生命を維持する(エネルギー)

…全身に栄養を供給し、潤す。精神活動を司る。

…全身を潤す(体内の正常な水分)

 

 

これらの3つの要素がバランス良く働くことで、人間は日々の身体活動を行っています。

 

 

また、東洋医学では、臓腑は身体のいろいろな機能を系統立ててとらえたもので、5つの“臓”と6つの“腑”があると考えられ、5つの“臓”を「五臓(ごぞう)」と呼んでいます。

 

 

 

それぞれの働きは、

 

肝・・・気を全身に運行させる、精神状態を安定させる、消化を助ける、血を貯蔵する

心・・・血を全身に循環させる、中枢神経系(神経・意識・思想活動)の活動を行う

脾・・・消化吸収活動を行う、栄養を全身に運ぶ

肺・・・気をつくる、呼吸活動を行う、皮膚の機能の管理

腎・・・精(生命の源)を貯蔵する、骨格形成、泌尿生殖活動を行う

 

 

 

東洋医学では、生命力を阻害し、病気を引き起こす原因を“邪気”と呼び、西洋医学でのウイルスや細菌などが邪気にあたります。東洋医学では花粉も邪気と考えられています。

 

 

 

これらの邪気は気の一種である、体の防御作用である衛気(えき)の働きや体表(皮膚)の浄化作用を管理する肺の働きが弱まることで体内に侵入すると考えられています。

 

 

 

また、東洋医学では、「肺は鼻に開竅(かいきょう)する」といわれ、肺の病気は鼻にあらわれると考えられています。肺の気が弱まることで、鼻づまり、鼻水等の症状があらわれます。

 

 

 

鼻水やくしゃみ等の症状については、脾の機能が弱まることで、体内に余分な水分が溜まりやすくなること(水毒)であらわれるとも考えられています。

 

 

 

そして、東洋医学では、肺と脾は互いに助け合い、促進する関係にあります。

 

 

 

以上のことから、肺と脾のバランスを整えることで花粉症の症状を改善できると考えられています。

 

 

 

ここで、ポイント!!

 

 

東洋医学では、“透明な鼻水”は体の“冷え”からきていると考えられています。

反対に、“色のついた鼻水”は体の“熱”からきていると考えられています。

 

 

 

 

 

東洋医学の視点での花粉症の対策

 

 

体質改善を中心に、漢方薬を併用する治療があります。

ここでは、まずは、自宅で出来る体質改善として、脾と肺の機能を強めることを心掛けましょう。

 

 

対処法1 消化吸収の良い食べ物を摂る

 

脾への負担を少なくするために、油ものを控え、消化吸収の良い食べ物を中心に食べましょう。

 

 

 

対処法2 冷たいものを控える

 

アイスクリームやジュース等の冷たいもの、果物のような水分の多いものは脾の機能を弱めますので、控えましょう。

 

 

対処法3 規則正しい生活を送る

 

気は朝に作られると考えられています。早寝早起きを心掛け、睡眠時間をしっかりと取りましょう。そして、肺の気を高めるために、朝食はしっかりと摂りましょう。

 

 

 

ここで、注意!!

 

 

体の冷えの対処法は、温かいものをたくさん摂ることよりも、まずは冷たいものを体に入れないことが重要です。

 

 

 

これまで冷たいものを好んで飲んでいた場合、まずは冷たいものをやめ、常温で飲むようにし、それをしばらく続けてから温かいものを飲むようにする方が体には良いでしょう。

 

 

 

というのも、キンキンに冷えたコップの中に温かいものを入れるとどうなるでしょう?

急激な温度差でコップの周りに水滴がつきます。これと同じことが体の中に起こります。

 

 

 

冷え切った体の中に急に温かいものが入ってくると、そこに湿気(湿)が発生します。東洋医学では湿は体に様々な症状を起こす原因となると考えられています。

 

 

 

冷え症の人が急激に温かいものを摂ると、却って体のだるさを感じたりするのはこのためです。

 

 

 

 

ここで、気になるポイント!!

 

 

最近では、数千種類ある乳酸菌の中には、花粉症などのアレルギー症状の原因となるIgE抗体を抑制したり、アレルギー症状を緩和する働きをもったものがあるという様々な研究結果が報告されています。

 

 

 

“花粉症対策にはヨーグルト”といったフレーズを見たり、聞いたりされている方も多いと思います。

 

これについて、東洋医学の視点では・・・

 

 

 

五臓にはそれぞれ対となる六腑(胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦(さんしょう))があります。六腑は五臓の補佐をしながら、消化、吸収、排泄などの生理機能を営んでいると考えられています(三焦は五臓のいずれの五臓とも対をなさず、全身の水分と気の巡りをコントロールするのが主な機能であると考えられています)

 

 

五臓と六腑の関係はこのようになっています。

 

 

 

 

肺には大腸が対となっています。

 

 

 

つまり、大腸の働きが整えば、肺の働きも整うと考えられるのです。これが、東洋医学の視点での“花粉症対策にはヨーグルト”です。

 

 

このことから、東洋医学ではヨーグルトだけでなく、例えば、果物のりんごは体を冷やす食材ではありますが、大腸の働きを整えるという点で花粉症には良いと考えられています。

 

 

 

 

花粉症におススメの食材

 

エンドウ豆(スナップエンドウ)

脾、胃に作用し、湿を取る。

 

キャベツ

脾、胃に作用し、気を補い、脾、胃の働きを高める。

 

黒豆

脾、腎に作用し、水分代謝を良くして、むくみを取る。身体に必要な潤いを与える。

 

小松菜

肝、脾、肺に作用し、冷えを取り、腸を潤し、肺の働きを高める。

 

紫蘇(シソ)

肺、脾に作用し、気の巡りを良くして、腸の働きを回復させる。

 

生姜(ショウガ)

肺、脾、胃に作用し、気の巡りを良くして、お腹を温め、胃の冷えをとる。

 

ジャガイモ

脾、肺、胃に作用し、気を補い、脾の働きを高める。

 

白キクラゲ

肺、胃、腎に作用し、肺を潤し、胃を保養する。

 

白ゴマ

肺、脾、大腸に作用し、身体を潤し、気を巡らせる。

 

大豆

脾、胃、大腸に作用し、脾の働きを高め、余分な水分を取る。

 

ニラ

肝、胃、腎に作用し、胃腸を温め気の巡りを良くする。

 

ニンニク

脾、胃、肺、大腸に作用し、気の巡りを良くして、お腹を温め、消化を助ける。

 

葱(ネギ)

肺、胃に作用し、気の巡りを良くして、身体を温める。

 

ハトムギ

脾、肺、腎に作用し、胃腸の働きを高め、余分な水分を排出する。

 

松の実

肝、肺、大腸に作用し、肺と腸を潤す。

 

山芋(長芋)

脾、肺、腎に作用し、胃腸を丈夫にし、体力をつける。気を補う。

 

 

 

 

次回は上記の食材の中から、簡単に出来るお料理レシピをご紹介します。

今回も、最後までお付き合い頂き、誠に有難うございました!

 

 

 

【“今日のすくすく赤ちゃん”のご紹介です】

 

 

大阪府の暁斗くん

(2016年4月生まれ、身長86cm、体重12.5kg)

 

~ママからのメッセージ~

もうすぐ2歳の息子は、おしゃべりが上手になってきました!お散歩中には「ワンワン」「ブーブー」「ピーポー」と、あちこちをを指差して嬉しそうに声を上げています。最近では、布団の上でぬいぐるみと一緒に横になって「クマ、ねんね」と言うことも(*^_^*)
これからも、どんどんおしゃべりしてくれるのを楽しみにしています!

 

 

 

 

《お知らせ》

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たくさんの赤ちゃん、キッズの応募をお待ちしております!

 

 

 

 

 

 

 

筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長