(第92回)紫外線から家族を守りましょう⑤
“今日のすくすく赤ちゃん” の紹介は、コラムの最後に登場です。
今回の赤ちゃんは写真を2枚ご応募頂きました。2枚目はママからのメッセージと一緒に掲載しています。是非、最後までご覧ください(^^)
《お知らせ》
現在、このコラムに登場してくれる3歳くらいまでの「すくすく赤ちゃん」、小学6年生までの「すこやかキッズ」を募集中です!
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この夏の思い出の写真など、たくさんの赤ちゃん、キッズの応募をお待ちしております!
今日から8月になりました。
連日、蒸し暑い日が続いています。そして、日中は眩しいほどの日射しが降りそそいでいます。街中では、日傘や帽子、サングラスなどで強い日射しを避けている方々を多く目にします。
この育児コラムでは、数回に渡って、夏を快適に過ごすため、“紫外線”について考えてきました(詳しくは、第88回~第91回のコラムを参照願います)
第88回~第91回は、紫外線が身体に及ぼす影響、主に悪影響について考えてきました。
紫外線は皮膚だけでなく、眼にも影響を及ぼすため、大人だけでなく、乳幼児であっても紫外線対策は必要です。
しかし、紫外線が身体に及ぼす影響の中には、身体にとって必要なものもあります。
それが、紫外線によるビタミンDの生成です。
そこで、今回は紫外線とビタミンDの関係について、考えていきます。
ビタミンDとは~ビタミンDは骨を強くする~
骨を作る栄養素といえば、カルシウムです。現代日本ではカルシウム不足が問題となり、「骨粗鬆症(こつそそうしょう)」という言葉もよく耳にされていると思います。
カルシウム不足への対策は、食事からの摂取量だけでなく、摂取したカルシウムを体内に吸収することも重要です。
この体内でカルシウムの吸収を手助けする栄養素が”ビタミンD(vitaminD)”です。
ビタミンDは脂溶性ビタミンの1つで、大きく分けてビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)に分けられます。
ビタミンD2とビタミンD3は、ほぼ同等の生理活性を持っています。
ビタミンDは小腸でのカルシウムとリンの腸管吸収を促進させ、血中カルシウム濃度を一定に調節することにより、食物からのカルシウムの吸収を促進し、正常な骨格形成、骨量維持などの働きをします。
そんな、ビタミンDが不足すると・・・
腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、低カルシウム血症となります。これに伴い、二次性副甲状腺機能亢進症が引き起こされ、骨吸収が亢進し、小児では“くる病”(脊椎や足の骨の湾曲や変形する)、成人では骨軟化症が起きます。
ビタミンDと紫外線の関係
ビタミンDを摂取する方法は大きく分けて2つあります。
1つはビタミンDを含む食品を食べること、もう1つは紫外線を浴びることにより皮膚から合成することです。
体内では、豊富に存在するコレステロールはプレビタミンD3に代謝されます。このプレビタミンD3は皮膚内に透過した紫外線により、プレビタミンDへ変性し、これが体内(肝臓や腎臓)で種々の代謝を繰り返し、最終的にはビタミンDとしての効力を発揮します。
近年では、日焼けを避ける若い女性が増えたことから、特に乳幼児のビタミンD欠乏症が増加しているといわれています。
これは、日焼けを避けること(日焼け止めの使用など)で紫外線を浴びることが減り、妊婦のビタミンD欠乏状態が多くなり、元々骨量の少ない赤ちゃんが多いうえに、完全母乳栄養やアトピー性皮膚炎に対する除去食、生後の日光浴不足が重なることがリスク要因と考えられています。
ビタミンDの観点から、紫外線を浴びる(=日光浴)は必要なことです。
しかし、過度な日光浴は皮膚や眼への有害な影響が懸念されるため、適度な日光浴が大切です。
しかし、その“適度”については、紫外線量は住居の地域、季節、時刻、天候、服装、スキンタイプなどの多くの要因で左右されるため、残念ながら、一律に〇〇分とは表現することができません。
環境省の「紫外線環境保健マニュアル2015」によれば、“東京都心で8月1日の昼ごろ、雲が少しある晴れた日に外出するとして3分間”と記載されています。また、公益社団法人骨粗鬆症財団のHPでは、“夏なら木陰で30分”と記載されており、一律での表現は難しい状況です。
そこで、日光浴をすることに抵抗のある方は食べることでビタミンDの摂取を心掛けましょう。
ビタミンDを多く含む食材
ビタミンD2は、きくらげ、本しめじ、しいたけなどの“きのこ類”に多く含まれています(特に、乾燥したものには多く含まれています)
ビタミンD3は、しらす、カツオ、サケ、イワシ、サンマなどの“魚介類”に多く含まれています。
食品中のビタミンD含有量(例)
環境省「紫外線環境保健マニュアル2015」より
ここで、ポイント!!
脂溶性ビタミンは油になじむ性質があり、油脂と一緒に摂ることで吸収率はアップします。油を使った調理法がおススメです。尚、脂溶性ビタミンは水溶性ビタミンと違い、水に溶けることもありませんので、水洗いしても大丈夫です。
ただし、主食の穀物類や果物、海藻、野菜類には事実上、ビタミンDは含まれていませんので、食事だけの摂取では、十分なビタミンDの摂取は難しい場合があります。
このような場合は、ビタミンDのサプリメントを併用することも効率的なビタミンD摂取の方法の1つです。
ここで、注意!!~ビタミンD中毒~
ビタミンDは長期に渡って過剰に摂取すると、身体に悪影響を及ぼします。
ビタミンDの過剰摂取により、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害などが起こります。
食品からの過剰摂取はビタミンDを含む食材は限られているため、不足する傾向はあっても過剰になるほどの摂取はほとんど考えられません。
また、身体には自身が生成するビタミンDの量をコントロールする機能があるため、日光浴のしすぎによるビタミンDの過剰生産(中毒)が起こることはありません。
ビタミンDの過剰摂取の原因は、ほぼ例外なくサプリメントの過剰摂取です。サプリメントは非常に便利なビタミン補給の手段ではありますが、これも適度が大切です。
ビタミンDの食事摂取基準(1日量)
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」より
まだまだ日射しの強い日々が続きます。
ママだけでなく、お子様も紫外線対策を忘れないようにしてください(もちろん、パパも^^)
そして、ビタミンDのことも考えて、食事にも注意するように心掛けてみてください。
次回は、7月末日に締切りましたSNSイベント、「夏にピッタリ!!簡単レシピ大賞」の結果発表(レシピ発表)です!どのようなレシピが登場するのでしょうか(^^)
是非、楽しみにお待ちください(^^)
今回も、最後までお付き合い頂き誠に有難うございました!
【 “今日のすくすく赤ちゃん” のご紹介です】
大阪府の祥太朗(しょうたろう)くん
(2017年12月生まれ)
~ママからのメッセージ~
(撮影当時)5カ月の男の子です。すでに9キロ超えたビッグベイビー!(笑)。いつもニコニコ、ぽっこりお腹とムチムチボディーがチャームポイントです。
赤ちゃんらしい、元気なムチムチボディーがとても可愛いですね(^^)
筆者プロフィール:樋屋製薬株式会社 薬剤師/大阪家庭薬協会 品質部会副部会長